Videocast - 映像の力
モーション・ピクチャー・チーム ディレクター 水ノ江 知丈映像は人と人を結ぶ最高の手段
アメリカの哲学者・教育者であるジョン・デューイの著書に、こういう一節があります。
『1オンスの経験は1トンの理論にまさる。(An ounce of experience is better than a ton of theory.)』
言葉ばかりでくみ上げた理論は経験の裏打ちがなければ、単なる言葉の公式でしかなく、目や耳や手による学習と思考が重要であることを訴えました。
このデューイの経験主義理論が、現在の視聴覚教育の理論の布石になったと言われていますが、その視聴覚情報の特性を簡潔に言い換えるならば、『百聞は一見にしかず』という言葉に尽きてきます。つまり、<映像>は言葉では説明しにくい概念や知識といったものを表現することが出来るのです。
また、ハリウッド黄金期に活躍したフランク・キャプラは『私は映像というメディアを人から人へのものだと思っています。一対一ではなく、一対千なのです。』と言いました。
映像は表現と伝達という面において、最高のメディアなのです。
そして、人が得る情報は五感全体の85%が視覚からと言われているように、それだけ<映像>の力は強大なものであり、無限の可能性を秘めています。
(と同時に勿論、発信する側はそれだけの責任を伴うことになるのですが。)
Videocastの登場
ブロードバンドの普及やインターネットの技術進歩もあいまって、誰もが気軽にWeb上で映像を見ることが出来るようになりました。ネットスケープを創業したジム・クラーク会長はインターネットの商業利用が始まった10年ほど前に「すべてのチャンネルがオンデマンドになる。しかもチャンネル数は無限だ。」と予想しましたが、まさにその世界が実現しつつあります。
昨年の10月、動画再生機能を持つ第5世代iPodが発売されました。iTunes Music Storeではミュージックビデオやショートフィルム、TV番組などのコンテンツを発売し、ダウンロードすればすぐにその場で楽しむことが出来ます。また、オリジナルのコンテンツをエンコード(ファイル変換)すれば、パソコンでは勿論、iPodやPSPなどの携帯端末で見ることが出来るのです。
(※AppleではビデオPodcastという名称ですが、弊社ではVideocastという名称を使用しています。)
H.264
VideocastではH.264というコーデックが採用されています。コーデックにはさまざまな種類があり、DVD-Videoで使われているMPEG2やデジタルカメラや携帯電話などの動画撮影時に使われたりするMPEG4があります。
このH.264は高圧縮(MPEG2の半分以下の容量)でしかも高画質、Blu-ray DiscやHD DVDといった次世代DVD、iPodやPSP、携帯電話、ワンセグ放送などの携帯端末でも利用できます。
これまでの動画配信との違い
Videocastの最適なプラットフォームはBlogであり、現在サイトで公開されているVideocastの多くはBlog形式になっています。
Blogの更新情報の配信として用いられているRSSがプッシュ的に更新情報を伝達していること、これがVideocastが普及している原因の一つと言えます。
また、インターネットを使った配信はストリーミング型が主流でしたが、Videocastはダウンロード型で、ハードディスクなどに一度保存してから視聴する方法をとっています。
これにはメリットがいくつかあるのですが、ダウンロード型だとWebサーバーで済みます。つまりストリーミングサーバーに比べ、ホスティングにおいてコストパフォーマンスが図れます。
インフラが整ってきたとは言え、ストリーミング配信はデータがその都度視聴者に送られるのでサーバーに負担がかかり、映像の動きが不安定になることが多々あります。よく、再生中に映像が止まったり、カクカクした動きになってしまうことに覚えがないでしょうか?
しかし、ダウンロードしたものを見る場合にはその心配はなく、発信側の意図通りに伝えることが出来ます。勿論、受信するユーザー側もストレスなく視聴することが出来ます。
そして何よりVideocastの最大の特徴は、さきほど挙げたような携帯端末にファイルを保存しておけば、好きな時(タイムシフト)、好きな場所(ロケーションフリー)で見ることが可能なことです。
これからの動画配信
情報化された現代の表現は瞬時にして世界中に伝えられる時代になっています。
つい先日、Googleのビデオ検索サービスに新たな機能、「Google Video」が加わりました。映像のファイルを、パソコン用だけではなく、iPod用、PSP用で検索、ダウンロードすることが出来ます。また、FLiXPOのようなユニークなiPod、PSP向けの動画ポータルサイトも登場しました。
映像は表現という面と技術という面の2つの側面があり、俎上にのせる課題は沢山あります。
企業が見せたいものを一方的に流すだけではうまく行きません。ユーザーが見たいと思うような内容を考えた上で、その中で企業が見せたいものを織り交ぜていくことが重要です。
Videocastではダウンロードした人の数が正確に分かります。そのため、費用対効果の分析が可能で、もしキラーコンテンツなるものが生まれれば、そこにCMを埋め込んだりする企業も出てくるでしょう。映像は豊富な情報量と感性的な訴求力を持っており、ますます動画が普及していくことが必至であることは明白です。
最後に。
このコラムはご覧の通り、テキストとしてお伝えしていますが、私としては是非<映像>でお伝え出来ればという思いでいっぱいです。なぜなら映像自体が言葉だからです。弊社では「Videocastサービス」をご提供しております。また、ミツエーリンクスの最新情報、サービス開発者の声などをVideocastでお届けする「ミツエーリンクスVideocasting」も隔週で更新しておりますので、是非ご覧下さい。
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