デザインは人
デザイナー 前嶋 康秀お客様の中に「ビジュアルデザイン(以下デザイン)は素人なもので…」と控えめにおっしゃる方がよくいますし、デザインのフィードバックをいただく時に「どう伝えれば良いかわからないんだけど…」ということもよくあります。
HTML・CSSの構築やプログラム開発は正解が一つといかなくても、ある程度正解に近しい形が導けるのに対して、デザインは正解が一つではなく、多様性を持つので迷ってしまうのではないでしょうか。
デザインは難しいもの?
では、デザインの良し悪しの判断基準は本当にあいまいなのでしょうか?
まず、デザインとは何でしょう?ドラマで言えば「役者」。F1レースで言えば「レーサー」。つまり目にする機会が一番多く、直接触れるものです。そして、デザインは「情報を発信する人or物」が存在し、「使う人」がいます。更に言えば、「作った人の意図」が存在し、「その意図を理解して使う人」がいます。
信号を例に挙げて説明します。青信号は「進め」(正確には「安全ならば進んでも良い」)、赤信号は「止まれ」と色で識別をします。信号の色(デザイン)には作った人と、それを使う人との間でコミュニケーションが存在します。そのコミュニケーション(デザイン)がうまいほど使いやすい信号と言い換えることが可能です。
判断基準があいまいになりがちなデザインの良し悪しですが、信号を例にすると、コミュニケーションが円滑に進められたり、誰もが認識しやすいデザインであれば良いデザインであると言えると思います。
このように、良いと感じるからには必ず理由が存在します。100%の正解は不可能かもしれませんが、それに近い正解は導けると思います。
そのコミュニケーションを良いものにするために、デザインする前には調査にとても時間を割きますし、それを組み立てる段階でデザインが魅力的になるようなスパイスを加えられるよう努力をしています。
ここでいうスパイスが「センス」といった言葉で置き換えられるのかもしれません。この作業には非常に苦労しますが、楽しい作業でもあります。お客様と要望を理解し、共通認識を持つことができれば、そこからアイディアはきっと生まれます。
心がけているのは1歩先ではなく、0.5歩先進んだアイディアです。1歩先を行ってしまうと、先を行きすぎて共感できません。0.5歩進んだデザインは新しさと共感を生むことができると考えるからです。
デザインは人である
昔の上司が「デザインは人だよ」と言っていたのをよく思い出します。Webデザインは信号のデザインとは違い、企業の想い(CI)も表現する必要があります。
企業(=人)をデザインするわけです。ここで言うデザインは見た目だけではありません。
例えばビジュアルデザインで企業ブランドをユーザーに印象づけることができます。それだけではなく、ビジュアルデザインやHTML実装時にアクセシビリティへの配慮をすることで、全てのユーザーに向けて平等にサイトの情報を発信する姿勢をアピールできます。
この場合、見た目には変わらないサイトでも、見る人が見れば新たな価値を生み出し、企業ブランドの向上に一役買うはずです。
Webにおけるデザインとは、HTMLやCSS、アクセシビリティを含めた構造の部分のデザインも含まれます。冒頭で「ビジュアルデザイン」と言及したのも、「Webデザイン」はビジュアルデザインだけではないためで、ビジュアルデザインに言及するために前置きをさせていただきました。
デザインにはコミュニケーションを円滑にするだけではなく、人を笑顔にしたり、感動を与えることすらあります。だからこそ、デザインは人だよな。と感じるのです。
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