レスポンシブWebデザインのこれから
取締役 木達 一仁本日、レスポンシブWebデザイン入門セミナーの最終回を開催しました。Webサイトにおけるマルチデバイス対応の最新動向として、レスポンシブWebデザイン(Responsive Web Design、以後「RWD」と表記)をご紹介するこのセミナー。今年5月25日の第一回を皮切りに計8回を開催、延べ410名もの方々にお申し込みいただきました。改めて、この場をお借りして参加された皆様に御礼申し上げます。ご参加、誠にありがとうございました。
これほど多くの方々がRWDに関心を寄せられたのは、スマートフォンやタブレット端末に代表されるモバイルデバイスの普及が、もはや無視できない状況にあるからだと思います。近年、モバイルデバイスからWebサイトへのアクセスは、着実にその比率を高めつつあります。サイト全体でみれば、モバイルデバイスからのアクセス比率の高くないB2Bサイトであっても、時事性のあるニュースカテゴリや、スマートフォンを活用して就職活動を行う学生が閲覧する採用情報に限ってみれば、その比率はほかのページよりずっと高くなっている可能性があります。
そうした状況において、さまざまなサイズのスクリーンを備えたデバイスでもっていかに見やすく使いやすいWebページをデザインすべきかが課題となります。元来、Webページとはあらゆる閲覧環境での利用を想定してデザインすべきものです。しかし、近年のモバイルデバイスの隆盛により、多様なスクリーンサイズへの表示対応にフォーカスが当たり、結果としてRWDにも注目が集まっているのでしょう。RWDとは、単一のコードベース、単一のHTMLソースを前提に
- フレキシブルなグリッドベースのレイアウト
- フレキシブルなメディア
- メディアクエリー
の3つを組み合わせたデザイン手法であり、どのようなサイズのスクリーンであっても、一定の見やすさと使いやすさを実現することができます。
スマートフォンやタブレット端末の出荷台数は、今後も右肩上がりで増加するものと予測されています。Androidを搭載した製品の売れ行きは好調を維持していますし、Appleがつい昨日発表したばかりのiPhone 5については、アナリストが販売台数予測を引き上げたとの報道があります。さらには来月以降、Windows 8を搭載したタブレット端末が発売される予定であり、スマートフォンとタブレット端末の両デバイス市場は、今まさに活況を呈していると言えます。
かくして、スクリーンサイズの多様化は、今後一層拍車がかかることでしょう。端的な例として、同じiPhoneであってもiPhone 4とiPhone 5では画面解像度が異なります(前者は960x640ピクセル、後者は1,136x640ピクセル)。そうした多様化に伴い、RWDを採用したサイトも徐々に増えていくものと予想しますし、事実当社においてRWDを採用する案件の数は徐々に増加しつつあります。しかし、全てのWebサイトでRWDを採用すべきとは考えておりませんし、RWDにはコンテンツやターゲットとするユーザーの特性に応じた向き不向きがあると考えています。
確かにRWDは有効なデザイン手法であり、スマートフォン対応においてGoogleが採用を推奨してもいますが、あらゆるコンテンツに適した完璧なソリューションというわけではありません。セミナーを通じご説明してきたように、最適化(特定のデバイスに向けに異なるHTMLソースを出力し分ける)とRWDのような汎用化とでは、目指すゴールも達成すべき品質も異なります。重要なことは、表示がレスポンシブかどうかより、ユーザーのコンテキストの多様化という命題に対し、表示に限らず最適化と汎用化のバランスをいかにして取るか、ではないでしょうか。
今後、RWD自体の成熟と並行して、その亜種のような手法についても検討・採用されていくものと考えます。たとえば ノートルダム大学の事例 のように、サーバー側の処理を組み合わせ、完全なワンソースマルチユースではないけれども、RWDの弱点のひとつである表示速度を改善する手法があります。あるいは Appleのサイト のように、レイアウト上は大きな変更は加えないながらも、メディアクエリーを使って部分的に対応を施すといった手法もあります。
Webの閲覧環境は、これからも変化し続けることでしょう。中〜長期的な視点に立つならば、その変化に振り回されるのではなしに、変化に耐えてなおWeb本来の潜在能力を最大限発揮するようデザインすることが、益々求められるように思います。セミナーは終了いたしましたが、当社では引き続きRWDを含め、貴社Webサイトのマルチデバイス対応を戦略立案から実装に至るまでお手伝いさせていただきますので、是非お気軽にご相談ください。なお、残り日数は少なくなりましたが、今月末までは無料体感キャンペーンを実施中です。こちらもご検討いただければ幸いです。
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