JIS X 8341-3:2016の公示
取締役社長 木達 一仁Webコンテンツのアクセシビリティに関する設計指針、JIS X 8341-3(規格名称「高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス− 第3部:ウェブコンテンツ」)が2度目となる改正を迎え、JIS X 8341-3:2016として公示されました。本日を境に、JIS X 8341-3の最新版は2016年版ということになり、2010年版(JIS X 8341-3:2010)は入手できなくなります。
今回の改正にあたっては、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC:Web Accessibility Infrastructure Committee)に参加している委員並びに作業部会委員を中心に組織された、JIS原案作成委員会において検討が進められました。WAICの副委員長という立場から、私もJIS原案作成委員会に名を連ねた一人でありますが、その分科会に参加した当社アクセシビリティ・スペシャリストの中村が、実務面での貢献を果たしました。
改正に関わった一人として、JIS X 8341-3:2016が無事に公示されたことを大変嬉しく思うと同時に、WAIC委員長でありJIS原案作成委員会でも委員長を務められた植木様をはじめ、関係各位のご尽力に感謝申し上げる次第です。ありがとうございました。
さて、2010年版のJIS X 8341-3と比べ、2016年版では何が変わったのでしょうか? 対応国際規格と完全に一致した規格となった点が、今回の改正最大のポイントです。既に2010年版において、JIS X 8341-3はW3Cの策定するガイドライン、 WCAG 2.0(Web Content Accessibility Guidelines 2.0) との協調を果たしていました。その後、WCAG 2.0は2012年10月に国際規格「 ISO/IEC 40500:2012 」として承認されていたわけですけども、JIS X 8341-3:2016ではこれと完全な一致が図られました。
つまり、内容的にWCAG 2.0、ISO/IEC 40500:2012、JIS X 8341-3:2016の三者が同一となったわけです。グローバルにビジネスを展開されている企業などでは、そのWebサイトのアクセシビリティに基準を設けるにあたり、国際規格との不一致を理由にJIS X 8341-3が採用されない事態が少なからず起こりえたのですけれども、今後はそういった心配もなくなります。
その一方で、2010年版においてJIS独自に設けていた要求事項については「附属書(参考)」という形でJIS X 8341-3:2016に付属され、これまでJIS X 8341-3:2010を用いWebアクセシビリティの確保に取り組んでこられた組織等においては、その取り組みを継続していただくことが可能となっています。
もうあと2週間もしないうちに、障害者差別解消法の施行を迎えます。メールニュースの2016年3月16日発行号(Vol.167)において、「コラム:運用ファーストでいきましょう(第4回)」で書きましたが、同法の施行も契機の一つとして今後ますます、Webサイトのアクセシビリティ品質が社会的に求められます。それを踏まえ、Web担当者の皆様がアクセシビリティに取り組もうとされた際、是非JIS X 8341-3の活用を選択肢の一つとしてご検討いただければと思います。
JIS X 8341-3に則ったアクセシビリティの維持・向上のみならず、Webアクセシビリティに関しあらゆるご相談にお応えできる体制とサービス群を、当社では整えております。皆様からのご相談をお待ちしております。
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