CSUN 2016参加レポート1
アクセシビリティ・エンジニア 上江洲初めまして。アクセシビリティ・エンジニアの上江洲と申します。
今年も3月21日から25日まで、毎年恒例となっている世界最大級のアクセシビリティに関する国際的なカンファレンス、31st Annual International Technology and Persons with Disabilities Conference(通称CSUN)が開催されております。 会場は今年もサンディエゴのManchester Grand Hyatt Hotelです。
筆者は今回、CSUN初参加になります。 本エントリーでは23日の印象に残ったセッションやイベントについて報告します。
23日は8時より視覚障害者の方向けの会場案内ツアーがあり、セッションは9時からの開催でした。 筆者も初めての参加のため、早めに会場の下見を行っていたところツアー参加者の様子を見ることができました。
背の高い方の白杖がとても長いことや、先の転がる白杖を使用されている方をよく見かけること、レトリバー以外の大型犬や小型犬の盲導犬を連れている方が少なくないことにとても驚きました。
Visual Acuity Disability Simulator for Live Web Pages (Open Source)
あまりアクセシビリティの知識のない健常な開発者が、視覚障害者の見え方をシミュレートするブックマークレットが紹介されていました。 サイト上でブックマークレットを実行すると、ぼやけた画面、視差を絞った画面、白黒2色の画面等、シミュレート結果が確認できます。
デモンストレーション中に聴講者の方から、「デモンストレーションではマウスを使用されていますが、キーボードでも操作ができるのですか」という質問が挙げられていました。 残念ながら、視差をシミュレートする画面の都合上、マウスのみの操作になるそうですが、対象者は開発者に限定しているので今回は考慮していないと答えられていました。
このやり取りから実際のWebサイトだけではなく、ツールにもアクセシビリティを求められていることを感じました。
Creating Accessible Documents with Google Docs
こちらのセッションでは、Google Docsでアクセシブルな書類や発表スライドを作成する方法が紹介されていました。 Google Docsの使用方法紹介にとどまらず、アクセシビリティという観点からスライドのデザインで気をつけることや発表する意識の持ち方についてもアドバイスをされていました。
デザインに関しては、フォントサイズの違いによる文字の視認性や、sans-serifのように文字に飾りのついていないプレーンなフォントの方が視認性が高いことを話されていました。 発表者の意識に関するアドバイスは、先にスライドをシェアしておくことや、発表時には聴講者のことを考え、ゆっくり話すことを心がけると良いそうです。
一見当たり前のことのようですが、資料を閲覧する方のことを意識して資料を作成することの大切さを改めて考えさせられるセッションでした。
アクセシブルカラオケ
23日のプログラム終了後はDeque主催のDeque Party and Accessible Karaokeに参加しました。
アクセシブルカラオケが通常のカラオケと異なるのは、歌に合わせて手話通訳者の方がリアルタイムで通訳を行う点です。 手話通訳者も曲調に合わせて踊るように手話を行ったり、間奏ではエアピアノを披露されていてとても面白かったです。
カラオケの参加者もいろいろとパフォーマンスをされていました。間奏で白杖を持った男性が華麗なエアーギターを披露されている方がいて、会場は大盛況でした。