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コラム:運用ファーストでいきましょう(第16回) |
つい先日のことですが、米国San Diegoに出張し、CSUNカンファレンスに参加しました。同カンファレンスは、アクセシビリティに関するものとしては世界最大規模といわれ、今年で32回目を数えるものです。期間中はWebに限らず、さまざまな分野にわたるアクセシビリティ関連の講演や展示が行われました。
CSUN Conference 2017
今年のCSUNで注目を浴びていたのが、W3Cの策定するWebコンテンツのガイドライン、Web Content Accessibility Guidelines(以下「WCAG」)の新バージョン、WCAG 2.1に関するセッションです。現在広く世界中で使われているのは、2008年に勧告された2.0というバージョンですが、10年ぶりのバージョンアップを目指して、作業が開始されているのです。
CSUNの開催にタイミングを合わせたのか、2月28日にWCAG 2.1の最初の草案が公開されました。WCAG 2.0との主たる相違はモバイル機器、弱視、そして認知障害への対応が強化されていることです。28もの達成基準が新たに加えられており、Webアクセシビリティに取り組んでいる方であればどなたでも、要注目の動きといえるでしょう。
Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.1 First Public Working Draft
日本では昨年4月に障害者差別解消法が施行され、Webアクセシビリティ確保の機運が高まるかに思えましたが、残念ながら私が個人的に期待していたほどの高まりはみられませんでした。それは、例えば昨年8月にウェブアクセシビリティ基盤委員会の実施した、一般企業を対象とした実態調査の結果にあらわれています。
一般企業におけるウェブアクセシビリティ方針策定と試験結果表示の実態調査(2016年8月)
しかし世界は、そしてWebは、確実に変化し続けています。利用者の拡大と利用デバイス多様化に伴い、Web担当者にとって、コンテンツのアクセシビリティ確保は喫緊かつ必須の要件。この領域への取り組みを新たに始めたり強化し始めるのに、遅すぎるということはありません。4月から新年度を迎える方であれば是非、それを機にアクセシビリティ品質にあらためて、目を向けてみませんか。
最後にセミナーの告知を。来たる4月21日、株式会社インフォアクシア、サイボウズ株式会社、株式会社コンセントの各社の皆様と、今年のCSUNで見聞きしたWebアクセシビリティ動向について、皆様に共有させていただくセミナーを開催します。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
CSUN 2017 参加報告セミナー
(取締役社長 木達)