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コラム:運用ファーストでいきましょう(第31回) |
6月5日付けで、W3CのWeb Content Accessibility Guidelines(WCAG)が2.0から2.1にアップデートされました。WCAGは、Webコンテンツをアクセシブルにする際のガイドラインとして、広く普及しています。今や世界中で活用されているバージョン2.0の勧告から、実に9年半ぶりとなった今回のアップデートは、Webのアクセシビリティに専門的に関わってきた一人として感慨深く、早速コラムを書かせていただきました。
WCAG 2.1の勧告
WCAG 2.1が勧告されたからといって、WCAG 2.0から乗り換えなければいけないわけではない、という点が重要です。たとえばWebアクセシビリティのJIS規格、JIS X 8341-3:2016に則ってアクセシビリティ対応に取り組まれている企業や組織の場合、その大方針を変えない限りは引き続き、技術的に同じ内容であるWCAG 2.0を活用し続けることになります。併存するWCAG 2.0とWCAG 2.1、どちらに則るべきかに現状、唯一絶対の正解はありません。
確かに、WCAG 2.1をお使いになったほうが、モバイルや弱視、認知・学習障害といった(WCAG 2.0では対応が不十分とされてきた)領域をカバーしやすく、つまりコンテンツをよりアクセシブルにしやすくなります。しかしコラムでご紹介した通り、WCAG 2.1ではWCAG 2.0で定義された61の達成基準に加えて、新たに17の達成基準が加えられています。目標とする適合レベルにもよりますが、制作や検証にかかる運用コストの増加にはご注意いただく必要があります。
なお、当社が構築ないし運用するWebサイトにおいて、音声や動画といったメディアファイル、PDFコンテンツや特殊な要件を伴う一部の例外を除き無償でWCAG 2.0適合レベルAの品質を担保してきた「標準対応」につきましては、プレスリリースにありますように今年10月1日以降、WCAG 2.1に基準を変更します。
ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)2.1への標準対応の開始について
最後に、WCAGを活用してWebアクセシビリティに取り組まれているすべてのご担当者様向けに、「Web担当者のためのWCAG 2.1 解説セミナー」を企画しました。開催は少し先の日にちになりますが(今年9月7日)、ご興味・ご関心があれば是非お申し込みください。
Web担当者のためのWCAG 2.1 解説セミナー
(取締役兼CTO 木達)