CSUN 2015聴講セッション紹介3 - Choosing An Accessible UI Framework
アクセシビリティ・エンジニア 黒澤この記事では、CSUN 2015の最終日(3月6日)に参加したセッションから、Choosing An Accessible UI Framework(「アクセシブルなUIフレームワークを選ぶ」)を紹介したいと思います。このセッションのスライドは既に公開されており、また、参加者の Paul Schantz氏が取られた要約(英語)も参考になります。
このセッションでは、Webのフロントエンドで使われている4つのフレームワーク(Angular.js、Bootstrap、Foundation、jQuery Mobile)のアクセシビリティを評価した結果が紹介されました。評価の軸はドキュメント(APIマニュアル、チュートリアルなど)、フォーム、タブ、ダイアログの4つからなりました。また、各軸における具体的な評価基準も公開されており、スライドで確認することができます。
私は評価の軸にドキュメントが入っていたことを興味深く思いました。彼らのセッションでは、「開発者は(フレームワークを使い始める際)ドキュメントにあるコードのコピペから始めるのだから、そのコードがアクセシブルになっているべき」という話が何度かありました。CSUN 2015やCSUN 2014でもフレームワークに関するセッションがあり、Angular.jsのngAriaやBootstrapのBootstrap accessibility pluginが紹介されることもありました。しかし、そういったプラグインを導入しないとアクセシブルにすることが難しいフレームワークよりも、何もしなくてもアクセシブルにしやすいフレームワークの方が良いことは間違いありません。
さて、セッションで紹介された、各軸に対する評価は、
- Angular.js、Bootstrap、Foundationはアクセシビリティに関するドキュメントがあるが、jQuery Mobileはアクセシビリティに関するドキュメントはほぼない
- フォーム・タブ・ダイアログウィジットのアクセシビリティはいずれもjQuery Mobileは問題ないが、他のフレームワークには何かしらの問題がある
という結果になりました。アクセシビリティに関して言えばjQuery Mobileの対応が進んでいるようです。CSUN 2015ではありませんが、Deque社のPaul J. Adam氏もjQuery Mobileのアクセシビリティを紹介するスライドを公開しています。jQuery Mobileが気になる方はこちらも参考にすると良いでしょう。
また、セッションの最後には、Angular.js、Bootstrap、Foundationのいずれもが、アクセシビリティに力をいれて開発が進められているという紹介がありました。フレームワークを適切に使えば、特別なことを考えなくてもアクセシブルなサイトやアプリケーションが作れる。来年のCSUNでそんな発表が聴ければ良いなと感じました。