Japan Accessibility Conference vol.1 参加レポート
アクセシビリティ・エンジニア 小出11月11日(土)に開催されたJapan Accessibility Conference(JAC) vol.1 「国内最大級のアクセシビリティカンファレンス〜アクセシビリティのこれまでとこれから〜」に参加してきました。
アクセシビリティの必要性が認識されつつあること、その機運の高まりを可視化したかったとの主催のコメント通りフロアはほぼ満席で、参加者の熱意が感じられる雰囲気でスタートしました。
基調講演+全8セッションのテーマはアクセシビリティの基本から実際に現場に導入するにあたっての事例など幅広く設定されており、いずれもアクセシビリティに取り組む上で欠かせないテーマです。資料や映像アーカイブが用意されるだけでなく、UDトークによる情報保障が用意されていたのもよい試みのひとつと感じました。
とはいえ、映像アーカイブをすべて見るにはそれなりの時間の余裕が必要になりますので、私が参加したセッションについて、簡単にレポートとしてまとめてみました。効率よい閲覧の手がかりになれば幸いです。
基調講演「UX as science」
Alan DixやNielsen NormanのUXの考察をベースにした、ユーザーがサイトから情報を得る体験についての説明や、ユーザーテストの結果を科学的に分析しYahoo Koreaのトップページを改善した手法について、講演が行われました。
デザインはビジュアルの美しさだけではなくコンテンツに即したコンテキストを持って本来の効果を発揮するものであることについて、整然と説明されており、すっきりと理解できる内容でした。
セッションA-1「アクセシビリティのインクルーシブデザイン」
アクセシビリティ先進国の韓国からの登壇者によるセッションとのことで、ウェブアクセシビリティ認証マーク(Web Accessibility Quality Mark)の交付制度など、法整備がすすめられている社会での実例についてぜひ知りたいと思っていたので迷わず選びました。
K-bankとKakaobankのモバイルアプリのアクセシビリティチェックテストの結果を例に、両アプリの長所短所が具体的に紹介されました。ユーザー層の差異など両ソフトのコンセプトの違いが反映されたユーザビリティが、必ずしもアクセシビリティと結びつかなかった点など、頷く部分が多い内容でした。
参考
セッションA-2 「アクセシビリティ・ガイドラインの歩き方(初心者編)」
ガイドラインは日々確認・使用していますが、惰性や見落とし、誤解などがないよう、基本の再確認をするために選んだセッションです。
WCAG 2.0 / JIS X 8341-3:2016の概要、使い方、注意すべき点がコンパクトにまとめられており、これからアクセシビリティ対応に取り組む現場担当の方にちょうどよい導入だったと感じました。
セッションA-3 「アクセシビリティ検証ツールとしてのNVDA入門」
日頃お世話になっているツールの開発者の方によるセッションということで、個人的にテンション高く参加しました。
日々の操作でNVDAがどのように動いているのか、特に気になっていた「フォーカスモード」についてわかりやすく説明があり、よい収穫でした。
Windows環境がないとお嘆きのMacユーザーにも利用できるよう、仮想環境の導入から説明を用意される周到ぶりに、NVDAを使ってほしいという静かな熱意にさらにテンションがあがりました。みなさんNDVA使いましょう!
セッションB-4 メディア事業でのアクセシビリティ展開事例・CAではこうやってます
アクセシビリティ対応をすすめたい、でもどうやって道筋をつけたらいいかわからない、もしくは導入したいけれどさまざまなハードルに直面して困惑している方向けの内容でした。アクセシビリティ対応が必要な箇所について、デザイナーや開発者など対象別に表現を変えて説明するのはChatWorksでも実際に行っているとのことで、理解・共感を深めるのに有効だと思います。当社でも検証結果やアクセシビリティのご説明に際し、対象者にとってわかりやすくなるよう心がけています。
参考
以上です。
第二回もぜひ開催してほしいですし、その際は何か貢献できればと思います。