Webアクセシビリティに対するWix.comの取組みとATAG 2.0
エグゼクティブ・フェロー 木達無料ホームページ作成サービスのWix.comが、Webアクセシビリティについてというページを公開。同社のサービスを利用して、アクセシブルなホームページを作成するためのヒントを提供していました。同社のHow to Make Your Wix Website AccessibleというBlog記事によると、同ページの英語版は昨年12月14日に公開されていたようです。
同ページで紹介されているのは、本稿執筆時点では代替テキストの提供と見出し要素の適切な利用の2点だけですが、そこからリンクをたどった先にあるサイトのアクセシビリティを上げるというページでは、色のコントラストやキーボード操作への対応などにも言及されています。
こうしたヒントや、また実際にアクセシビリティを高めるための機能をユーザーに提供されているのは、素晴らしい取り組みであると私は思います。同時に、先述のWix.comのBlog記事で明かされているわけではないものの、これは私にはATAG 2.0の一部項目への準拠を意図した取り組みに映ります。ATAGとはAuthoring Tool Accessibility Guidelinesの略語で、W3C/WAIの策定するガイドラインのひとつ。その最新バージョンであるATAG 2.0は、2015年9月に勧告されました。
Webコンテンツを対象としたガイドライン、WCAGと比べ取り上げられる機会は少ないように感じられますが、Webコンテンツを制作するためのオーサリングツール(CMSやDreamweaverに代表されるアプリケーションなど)のアクセシビリティにとって、ATAGは欠かせないガイドラインです。ATAG 2.0は大きく2つの部分からなり、オーサリングツールのUIがアクセシブルか、そしてそのツールを使ってアクセシブルなWebコンテンツを制作できるかどうか、の双方についてガイドラインを取りまとめています。
Wix.comのアクセシビリティ向上のための取り組みが、今後ますます充実するとともに、他のあらゆるオーサリングツールにおいても、同様の取り組みが普及することを期待します。なお、ATAG 2.0については有志の方が一部を訳された日本語訳がありますが、それを元に今後はウェブアクセシビリティ基盤委員会の作業部会4(翻訳)が管理・公開する予定となっています。