「【フォーラム記録】電子図書館から考える!情報アクセシビリティをめぐる最新動向」が公開
エグゼクティブ・フェロー 木達昨年11月に遡りますが、「電子図書館から考える!情報アクセシビリティをめぐる最新動向」に登壇という記事において、
なお、ディスカッションの内容については後日、書き起こしのうえ公開の予定と伺っています。当日参加された方も、そうでない方も、ディスカッションの内容に興味がございましたら、今しばらくお待ちいただきたいと思います。公開の暁には改めて、当アクセシビリティBlogでご案内します。
と予告していました。一昨日付けで、ディスカッションの内容含めフォーラム全体における発言の書き起こしが、【フォーラム記録】電子図書館から考える!情報アクセシビリティをめぐる最新動向で公開されました。盛田様の開会挨拶、植村様の趣旨説明、私の基調講演、そして登壇者全員による閉会挨拶と合わせて、当日のディスカッションの模様をご確認いただければと思います。
改めて自身の発言を振り返りますと、既存のPDFファイルをアクセシブルにすることの難しさを強調しすぎた感があります。しかし、後付けでPDFのアクセシビリティを確保する難しさはWebページの場合より格段に上、というのが個人的な体験に基づく感想です。後付けの前提では、Acrobat Proの「Touch Up 読み上げ順序」機能などを使って構造や読み上げ順を指定することになりますが、指定をする対象の要素をうまく選択できなかったり、選択できても相応しいタグが用意されていなかったり......という状況に、少なからず遭遇してきました。
アクセシビリティの高い電子書籍を実現するには、フォーマットにPDFを採用するかどうかに関わらず、後付けでなしに始めから、言わばアクセシビリティ・ファーストで制作に臨む必要があるでしょう。もちろん、アクセシビリティはコンテンツだけで担保できるものではありません。電子書籍コンテンツを処理するビューワーなりリーディングシステムのベンダー、さらにはコンテンツを利用するエンドユーザーといったそれぞれの立場にも、アクセシビリティを高めるためにできること、すべきことはあります。
電子書籍に関わる皆さんと連携・協調するなかで、同じゴールを共有しながら、今後のアクセシビリティ向上に取り組んでいきたいと願っています。それが、閉会挨拶における私の以下の発言の趣旨です:
今後、社会全体としてウェブ技術が浸透していく中で、みんなで一緒になって豊かな社会をどのように作っていくか、デザインしていくかというところが大事だと思っています。特に書籍は、直近で大事なテーマになってくると思いますので、ぜひ積極的にご参加いただければと思っています。