CSUN 2018 現地参加レポート その1
エグゼクティブ・フェロー 木達アクセシビリティに関するカンファレンス、CSUN Assistive Technology Conference(通称「CSUN(シーサン)」)に参加しています。前夜の基調講演に引き続き、本日(米国時間で3月21日)から3日間は、さまざまなテーマでセッションが催されます。その初日、私は以下の各セッションに参加しました:
- Publishing at the W3C: The Future of all Accessible Digital Publishing
- Harmonized Accessibility Testing for WCAG
- Amadeus and American Airlines: From User Tests to an Inclusive Website
- Improving Accessibility Through Process, Styleguide and Pattern Library
- International Uptake of WCAG 2.0 and WCAG 2.1 Including in Europe and China
- ARIA 1.1: An In-Depth View into the New and Shiny
- Mobile Accessibility in WCAG 2.1 and Beyond
本カンファレンスについては、帰国後にコラムやCSUN 2018 参加報告セミナーを通じて改めてお伝えする予定ですが、本日聴講した中から2つのセッションをピックアップして簡単にご紹介します。
Amadeus and American Airlines: From User Tests to an Inclusive Website
同じ時間帯では当初、別のセッションを聴講する予定でしたが、急遽聴講することにしたのが、アメリカン航空におけるWebアクセシビリティの取り組みを紹介するセッション。同社は、Amadeus社の開発・提供するe-Retailをカスタマイズして航空券を予約するためのUIを提供しているそうですが、ユーザーテストを通じて得られた多くの知見をもとに改修を行った成果を発表されていました。
単にWCAG 2.0に準拠しているかどうかを検証して終わりではなく、障害当事者を被験者としたユーザーテストを運用プロセスに組み込み、継続的改善を実践されている同社の取り組みは、大手企業を中心に今後広がりを見せるかもしれないと感じました。ちなみに同社がこれほどまでにアクセシビリティに真摯に取り組まれているその発端について質疑があったのですが、草の根的な活動からだったとのこと。昨今の航空会社のアクセシビリティ対応といえばAir Carrier Access Act(ACAA)の影響が無視できないわけですが、決してACAAが策定されたから......というわけではなかったようです。
ARIA 1.1: An In-Depth View into the New and Shiny
徐々に普及しつつあるWAI-ARIA、その最新バージョンである1.1仕様(Momdo Nakamura氏による日本語訳をAccessible Rich Internet Applications (WAI-ARIA) 1.1 日本語訳で読むことができます)について紹介するセッション。1.0と比べロールやステート、プロパティやその値につき30以上もの追加があるため、差分のすべてが詳細に紹介されたわけではありません。本セッションでは、具体的には以下の10個のロールや属性それぞれについて定義や実装サンプル、支援技術の対応状況が紹介されました:
- feed
- figure
- switch
- table
- term
- aria-current
- aria-errormessage
- aria-haspopup
- aria-modal
- aria-roledescription
セッションの最後に講演者の一人であるDenis Boudreau氏は、支援技術の対応がまだまだ不十分な現状への総括として、対応状況の調査やそれを踏まえたベンダーへの働きかけへの協力を呼びかけていました。その取り組みについては今後、About me • Sumans Accessibility blogで情報共有がなされるようです。