CSUN 2018 現地参加レポート その3
エグゼクティブ・フェロー 木達アクセシビリティに関するカンファレンス、CSUN Assistive Technology Conference(通称「CSUN(シーサン)」)は、米国時間の3月23日、すべての日程を終了しました。3日間続いたセッションの最終日、私は以下の各セッションに参加しました:
- Writing Automated Tests for Accessibility
- From the Ground Up: Building in Accessibility at the Wireframe Stage
- Consistently Accessible: Building Better Websites with Pattern Libraries
- Overview of the Assistive Technology Conformance Test Repository
- World Tour of Accessibility Policy and Standards
- Rethinking Accessibility Related Best Practices for CSS in the Modern Age
- A11yFirst for CKEditor: Supporting Accessible Web Authoring
現地参加レポート その1、現地参加レポート その2と同様、この日に聴講した中から2つのセッションをピックアップして簡単にご紹介します。
From the Ground Up: Building in Accessibility at the Wireframe Stage
古くからWebアクセシビリティに携わるLevel Access社のDerek Featherstone氏が登壇。かれこれ10年以上前に遡りますが、私はFeatherstone氏にインタビューを行ったことがあり(FlashコンテンツですがMeet the Professionals ~ Derek Featherstone参照)、その頃のことを懐かしく思い出しながら拝聴しました。ちなみにLevel Access社が、Featherstone氏の立ち上げたSimply Accessible社を買収したのは、先月15日のこと。
スター・ウォーズの大ファンでもあるFeatherstone氏は冒頭、同作品のストーリーボード、コンセプトアート、そして最終的な映像の3つの関係を引き合いにして、ワイヤーフレームの重要性を力説。セッション全体を通じて、ワイヤーフレームの段階、つまりプロジェクトの早期に発見できるアクセシビリティ上のリスクは多くあり、またその時点であればこそ修正コストは(プロジェクトがもっと進行してからよりも)抑えられる、と解説されていたのは、まさにその通りだなと思いました。
Rethinking Accessibility Related Best Practices for CSS in the Modern Age
インドのアクセシビリティ関連企業・BarrierBreak社に勤めながら、W3CでHTML5の仕様策定にも関わっている、Shwetank Dixit氏のセッション。HTMLやJavaScriptとアクセシビリティの関わりについてはリソースが豊富にある一方、CSSとアクセシビリティについてはあまり見受けられないこと、またそれに端を発してBarrierBreak社がChrome用にBarrierBreak CSS Accessibility Extensionを開発したことを背景として、CSUNに参加することにしたそうです。
色のコントラストやフォントサイズ、背景画像、ソースオーダーと視覚的な表示順の相関など、CSSがWebアクセシビリティの成否に直結する分野に限定しつつ内容を掘り下げて語っていたのは、確かに新鮮な印象を受けました。興味深かったのがUser Queriesにまつわるお話で、現状ではSafariしかサポートしていないようですが(Firefoxはサポートの動きがあります)、prefers-reduced-motionというメディアクエリーが紹介されていました(フロントエンドBlogの記事、Safari v10.1 の新機能と仕様参照)。
3回にわたり現地参加レポートをお届けしてきましたが、紹介した以外のセッションについてや全体的な感想などは、別途コラムやCSUN 2018 参加報告セミナーの場で改めてお伝えしたいと思います。