最近気になったアプリケーションの操作方法の変更について
アクセシビリティ・エンジニア 辻バージョンアップなどに伴い、アプリケーションの操作方法が変わってびっくりした経験をお持ちの方はいらっしゃるでしょうか?
例えば「このメニューを開いて次にこの手順で操作すれば簡単に目的が達成できる」と操作方法をしっかり覚えていたつもりでも、ときどきそれがうまく機能しないことがあります。
スクリーン・リーダーを日常的に使用している私も、頻繁に使用しているアプリケーションの操作方法が急に変わってびっくりする経験をしましたので、本日はその事例を二つご紹介します。
Microsoft Teamsのショートカットキーの変更
当社では、同僚とコミュニケーションを取るツールとしてMicrosoft Teamsを使用しています。 特に私は、普段イヤホンをつけてスクリーン・リーダーの音声を聞きながら仕事をしているため、同僚との会話にはこのツールをよく利用します。話しかけたい相手がどこで作業しているのか探し回らなくても、相手に用件を伝えることができるからです。
ある日、これまで使えていたショートカットキーでアプリケーションを操作しようとしたところ、キー操作を受け付けなくなってしまったことがありました。
うっかりしてショートカットキーを押し間違えたのではないか、新しいバージョンではショートカットキーが無効化されたのではないだろうか等、しばらくの間いろいろ悩みましたが、ショートカットキーの一覧を確認することにしました。
結論を申しますと、これまではAltキーとの組み合わせで動作するようになっていたショートカットキーが、更新されたバージョンではCtrlキーとの組み合わせで動作するように変更されていた、ということだったのですが、その事実に気がつくまで数時間かかってしまいました。
このバージョンを使い始めて一週間以上が経過し、新しいショートカットキーもある程度手になじんではきましたが、しばらくの間は古いショートカットキーを押してしまってはっとするような状態が続きました。
今回のようにショートカットキーをはじめとしたアプリケーションの操作方法に大きな変更がある場合、アプリケーションが更新された後にそれをダイアログなどで通知してもらえるようになると便利なのではないかと感じたできごとでした。
NVDA 2018.2で変更された設定ダイアログ
去る6月13日にリリースされたNVDA 2018.2と、日本語Windows向けの改良を行ったNVDA 2018.2jpでは、NVDAの動作方法などを変更する設定ダイアログに大きな変更がありました。
これまでは個別のダイアログとして表示されていた「一般」「音声」「点字」等の設定ダイアログが一つのダイアログに集約されて表示されるようになったことで、個別の設定を探し回る必要がなくなったことは大変便利だと思います。 一部の設定項目にはショートカットキーも用意されているので、例えば一般設定であれば、NVDAキー+Ctrl+Gを押すことで簡単に設定にアクセスすることもできます。
ところが、複数の点字ディスプレイを切り替えて使用している私は、少なからずこの変更の影響を受けることになってしまいました。 点字ディスプレイの設定ダイアログにはそれを簡単に開くためのショートカットキーが用意されていないため、私はこれまで、「NVDAキー+N」を押してNVDAメニューを開き、続けて「P R」を押すことで点字ディスプレイの設定ダイアログを開いていました。
しかし、新しいバージョンのNVDAでは多くの設定が一つの設定ダイアログに集約されたため、「NVDAキー+N」を押してNVDAメニューを開き、「P S」を押して設定ダイアログを開いた後、「カテゴリ」の一覧から「点字」を選択しなければ点字ディスプレイの設定が変更できなくなったので、ほんの少しではありますがこれまでよりも設定変更に手間がかかるようになってしまったのです。
もしかしたらこれも、操作方法に慣れていくことで解決できる問題なのかもしれませんが、これまで慣れ親しんできた操作方法で展示ディスプレイの設定が変更できなくなったことは、実は私にとってはこのバージョンのNVDAにおける大きなインパクトのある変更でした。
このように、操作性の向上や機能拡張を目的として行われる変更は、時として利用者に大きな影響を与えるものなのだなと言うことを改めて実感いたしました。
追記
記事の後半で取り上げたNVDAの点字ディスプレイの設定変更につきまして、読者の方より情報をいただきました。 NVDA 2018.2からは、NVDA+Ctrl+Aというショートカットキーが追加されており、これを使用することで点字ディスプレイを切り替えるためのダイアログを簡単に呼び出せるようになったそうです。
今後は、点字ディスプレイを切り替える際にこのショートカットキーを便利に活用させていただきたいとおもいます。 ご指摘いただきましてどうもありがとうございました。