エクストラの最新支援機器セミナーに参加しました
アクセシビリティ・エンジニア 辻去る8月19日に都内で開催された、音声・点字携帯情報端末 ブレイルセンスポラリス日本語版を紹介するセミナーに参加してきました。
これは文字通り、音声と点字で情報を表現する携帯型の支援技術で、7月末に有限会社エクストラから発売されている製品です。
私は古いモデルのブレイルセンスを所有していますが、最近内蔵されているWebブラウザーでWebサイトにアクセスできなくなってしまったこともあり、その最新動向が気になっていました。
セミナーは2部構成になっており、前半は開発元であるHIMSのテクニカルサポートマネージャーであるジェニファー・アクスラー氏の講演、後半は静岡県立大学国際関係学部の石川准教授によるブレイルセンスポラリス日本語版の機能紹介でした。
ブレイルセンスポラリス(Braille Sense Polaris)とは
今回紹介されたブレイルセンスポラリスは多機能な点字ディスプレイで、32セルのディスプレイと文字を入力したり機器を制御したりするためのキーで構成されています。
音声と点字を出力できるので、利用者は用途に応じてどちらか一方、または両方を活用して情報にアクセスすることができます。
様々な形式のファイルに対応しており、PDFやEPUBのドキュメントを読むことができたり、様々な形式の音声ファイルを再生できるとのことでした。 また、気になっていたWebサイトへのアクセスも問題なくできるようになったとの説明を聞いてとても安心しました。
オペレーティングシステムにはAndroid 5.1が使用されており、ワードプロセッサーや電子メール、Webブラウザやメディアプレーヤーといった基本機能を始め、一般的に普及しているAndroid向けのアプリケーションを使用することもできます(アプリケーション側のアクセシビリティの対応状況によっては利用できない可能性もあります)。
本体底面にはカメラが内蔵されており、商品検索や文字認識などに利用することができるそうです。
印象に残ったデモンストレーション
私が使用している旧型のブレイルセンスは、メーカーから提供されているアプリケーションでできる以上のことはできませんが、セミナーで紹介されたブレイルセンスポラリスは基本機能は少なくなったものの、様々なAndroidアプリが使用できるようになったことで、可能性が広がったような印象を受けました。
GoogleやAmazonの音声アシスタントを使用して現在地の情報や天気を確認するデモ、Apple Musicのアプリを操作するデモなどが興味深いと感じました。
また、AbemaTVのアプリを使用してインターネット放送局の音声を聞くことができたり、SkypeやLINEでコミュニケーションを取ることができたりすることが確認できたのもとても参考になりました。
これまでのブレイルセンスはどちらかというと単体で使用する機器のイメージが強かったのですが、アプリケーションを介してGoogle カレンダーなどとデータを同期させることができるようになったところも便利そうだと感じました。
会場の様子
セミナーが開催されたのは日曜日の午後でしたが、大変多くの方々が参加されていたことからも、このデバイスへの注目の高さがよくわかりました。
特に、視覚と聴覚の両方に障害のある盲聾の参加者から活発に質問が出ていたことが印象に残りました。
今回紹介されたブレイルセンスポラリスに加えて、秋にはもう少しサイズの小さなモデルの発表も予定されているとのこと、さらに選択の幅が広がりそうです。