ウェブアクセシビリティ基盤委員会がアクセシビリティ・サポーテッド(AS)情報作成への協力を呼びかけ
エグゼクティブ・フェロー 木達私自身を含め、当社から複数のスタッフが活動に参加しているウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)が、アクセシビリティ・サポーテッド(AS)情報(以下「AS情報」)作成への協力を呼びかけています(AS情報を作成するためのテストへご協力のお願い参照)。
たとえ仕様に則り、一定のアクセシビリティが確保できる想定でWebコンテンツを実装したとしても、その実装方法にユーザーエージェント(以下「UA」、具体的にはブラウザや支援技術)が対応していなければ、ユーザーにとってアクセシブルとは言えませんし、達成基準を満たしたことにもなりません。
そのような「絵に描いた餅」に似た状況を避けるうえで、採用する実装方法にUAが対応しているかどうか、すなわちアクセシビリティ・サポーテッドかどうかを把握することは、コンテンツを実装する立場にとって特に重要です。WAICでは、そうした情報を「AS情報」として取りまとめ、過去5回に渡り作成・公開をしてきました。
Web技術ごとにサポート状況を知ることのできるWebサイトとしてCan I use... Support tables for HTML5, CSS3, etcが有名ですが、AS情報は同サイトと似た側面を持ちます。実装方法ごとにアクセシビリティ・サポーテッドの度合いを知ることのできる資料だからです。
通算で6回目となる今回は、AS情報を作成する際に必要となるテストファイルの見直しの進捗を踏まえての取り組みになります。テストをWAIC内で行うのみならず、協力いただける方からテスト結果を募る運びとなりましたが、同じUAのバージョン違いを含め、より多くのUAによるテストが行われることが期待されます。
AS情報は先述の通り、Webコンテンツを実装する立場の方にとって特に有用と考えますが、同時にUAを利用する立場、つまりWebコンテンツのユーザーにとっても有用ではないかと思います。より多くの実装方法に対応したUAは、それだけアクセシビリティを確保しやすいUAと言えますから、利用するブラウザなり支援技術を選択する際の参考となるでしょう。
裏を返せばUAを開発する立場、ブラウザベンダーや支援技術ベンダーの方にとっても、AS情報は有意義であると思います。限度はあるにせよ、アクセシビリティ観点において競合の製品と比較したときの優劣を、客観的に把握することができます。またテストそのものに参加していただくことで、テストファイルの改善点をUA開発者の視点から発見できるかもしれません。
そういうわけで是非、AS情報作成にご協力をいただければと思います。テスト実施期間は今月末、1月31日までとなっています。詳細につきましては、AS情報を作成するためのテストへご協力のお願いをご覧ください。