DequeとMicrosoftのコラボレーションを振り返って
アクセシビリティ・エンジニア 畠山(この記事は、2019年3月12日に公開された記事「Reflecting on the Deque-Microsoft collaboration」の日本語訳です。Deque Systems社の許諾を得て、お届けしています。翻訳の正確性は保証いたしかねますので、必要に応じ原文を参照ください。)
訳注:外部リンクのほとんどは英語のページにリンクしています。
「Deque Systems to expand open source accessibility tools in collaboration with Microsoft」という、つい最近発表したMicrosoftとの共同プレスリリースについて、さらなる彩りを添えつつ個人的な見解を追加したく、私はこの記事を書いています。
アクセシビリティ業界と呼ばれるものができる前から取り組んできた者として、Microsoftのアクセシビリティへのコミットメントはとても画期的だと考えています。Microsoftのようなソフトウェア大手が、同社の実施しているレベルでインクルーシビティを支持することはまれです。
DequeがMicrosoftと共に歩み始めたのは、Microsoftが社員教育のためにDequeのアクセシビリティ教育コースの採用を決めた数年前にさかのぼります。当時、私たちのコースが広範に展開される計画に感銘を受けたものです。それが以後に続く旅路の始まりにすぎなかったことを、私たちは知りませんでした。その後すぐに、MicrosoftはDequeのオープンソースルールエンジン「axe-core」を社内の開発者に使用してもらうこと、そして最終的には彼らの新しいAccessibility Insightsという自動チェックツールに採用することを決めました。プレスリリースをすでに読んでいる方であれば、それらが私たちを現在ある姿へと導いたことをご存じでしょう。Microsoftがaxeのコミュニティに参加し、Windowsのルールをaxe for Windowsとしてオープンソース化することは、リリース以来強化してきたaxeのコミュニティをさらに強化する重要なステップです。axeのコミュニティは今後、Windowsベースのアプリケーションに対するアクセシビリティテストに貢献することができます。
また、私たちはこの決断が、iOS向け(近日公開予定)およびAndroid向けのaxeルールライブラリーをオープンソース化し、それらのルールに基づいたアプリケーションを無料でリリースすることにより、コミュニティへの貢献を拡大するというDequeのコミットメントと一致することもうれしく思います。
私は、アクセシビリティテストがすべてのフロントエンド開発者の中心的な責務になると信じています。今日という日は、私たちがaxeのユーザーならびに貢献者のコミュニティを拡大し、すべての人々が共通のルールセットを異なるプラットフォーム間で使用のうえ、アクセシビリティテストを以前よりさらに自動化することを可能にするためのマイルストーンです。
アクセシビリティにとっての意味
MicrosoftとDequeがアクセシビリティツールのオープンソース化で協力することは、アクセシビリティの世界を大きく変えます。axeが誕生する前は、アクセシビリティのルールは黒魔術のようでした。多くのルールは個人の解釈に依存し、透明性を欠き、改善したり使用するにはコミュニティのサポートが不足していました。世界中のすべての人が知識や利便、コンピューターやインターネットなどの増え続けるイノベーションを用いることのできる、印刷機以来の偉大なイコイライザーとしてのデジタル世界を、その期待に沿うようにするといった本当に重要なことに集中することなく、WCAG基準の異なる実装結果を比較するために、貴重な時間が失われていました。どのツールが正しい、あるいは間違った答えを出すかといったことに、何週間も費やされたのです。また、基準や不備のある実装に対する終わりのない議論に使う時間がないことから、最終的な影響を与える開発者によりアクセシビリティが放棄されるところも目にしました。
axeのルールを細かく精査できるよう「無数の目」に呼びかけ、外部からの貢献を受け入れてきたことが、axeを今日の姿である「自動化されたアクセシビリティテストの事実上の標準」にしてくれました。Dequeはこのプロジェクトをコミュニティと共に育てるため、すばらしい開発者のチームを割り当てました。コミュニティはそれに応え、Google、Facebook、eBay、そして他の多くの企業も貢献してくれました。
アクセシビリティへの道のりを歩み始める理由が企業ごとに異なろうとも、それは最終的には、あらゆる多様なユーザーに対し最高のカスタマーエクスペリエンスを提供するためのものです。
自分自身に質問してみてください:あなたは目先の利益に重きを置く企業と、道徳的重要性や長期的な利益機会を重視しオンライン体験をできる限り広範に提供する企業、どちらで働きたいですか?世界には10億人もの障害者が存在し、その一人一人がデジタルサービスにアクセスする権利を同じように持っています。それらを無視する口実は減ってきています。
Dequeのお客様にとっての意味
axeという旗印のもと、オープンソース化した私たちのWebのルールエンジンが事実上の標準になっていくことは、Dequeの「デジタルの平等性」というミッションにとって有益です。しかし、それだけではありません。私たちのお客様は、WorldSpace製品で満たそうとしている必須要件を数多くお持ちです。WorldSpace製品にaxeルールライブラリーが搭載されていることで、私たちのお客様はaxeの拡大やコミュニティの恩恵を受けることができます。サポートやセキュリティ、企業の必須要件は私たちの提供する有償ツールで確実に満たしながら、axeルールエンジンによって自動化を一層進めることの恩恵を得ることもできます。
皆さんはたくさんのすばらしい質問をお持ちだと思います。お気軽にコメントを寄せていただくなり、直接お問い合わせいただければお答えします。
ツールの場所とプロジェクトの取り組みに参加するには
オープンソースの取り組みに参加したいとお考えの場合、関連するプロジェクトは以下から見つけることができます。それぞれ近日公開予定です。
- Axe open source rules library for web - commonly known by project name axe-core
- Axe for Android rules library (coming soon)
- Axe for iOS rules library (coming soon)
- Axe for Windows rules library (coming soon)
訳注:リンクテキストは参照可能にするため翻訳していません。