Accessibility Conformance Testing (ACT) Rules Format 1.0仕様のごく簡単な紹介
アクセシビリティ・エンジニア 中村(直)W3Cからアナウンスがあったように(Call for Review: Accessibility Conformance Testing (ACT) Rules Format 1.0 is a W3C Proposed Recommendation | W3C News)、Accessibility Conformance Testing (ACT) Rules Format 1.0仕様が7月30日付けでProposed Recommendation(勧告案)のステータスになりました。W3C勧告プロセスの最終段階となるRecommendation(勧告)に進むにあたり、特に問題がなければディレクターの承認を待つ状態のステータスです。よって事実上、仕様が固まったと解釈できます。
さて、ACT Rules Format 1.0とはどのようなものかという話ですが、概要を読みますと、これはアクセシビリティのテストルールのフォーマットを定義するものとされています。このルールフォーマットを作成することで、自動テストと手動テストの開発に使用でき、アクセシビリティのテストに関わる関係者が堅牢でわかりやすい方法でテスト手順を文書化し、共有できるようにするとされています。これにより、テスト方法の透明化と調和が可能になる、とのことです。
ざっくばらんに捉えますと、WCAGの試験の役に立つとすると、わかりやすいでしょうか。
ACTのルールについては、2種類が定められています(3章)。最小単位となるアトミックルール(Atomic rules)と、アトミックルールを組み合わせて作成するコンポジットルール(Composite rules)です。複雑なテストを行えるように、2種類のルールを定めたとあります。
4章では、ルールの中身について、必須のものと任意のものが挙げられています。前述のルールのどちらかなのかを明示したり、ルールの概要を説明したりするほかに、テストケースを記述することなど、全部で13項目が必須の項目として定められています。
具体的なACTのルールについては、Rules | ACT-Rules Community | ACT-Rules Communityからドラフトのルールを見ることができます。この記事を書いた時点では、47個のルールが記載されています。
非常に簡単にですが、ACT Rules Format 1.0の紹介を試みてみました。これまでテストルールのフォーマットがなかったものが標準化されることにより、アクセシビリティのテストのさらなる向上につながっていくことが期待できます。
最後に、このブログ記事を書くにあたっては、仕様のエディターでもあるDeque Syatems社のWilco Fiers氏によるブログエントリー(What does the W3C's upcoming ACT standard mean for accessibility?)を参考にしました。