企業がWebアクセシビリティに取り組むべき理由
エグゼクティブ・フェロー 木達去る10月8日、Global Business Hub Tokyoで行われたシックス・アパート株式会社主催のイベント「SAtisfaction 2019」で、私は企業がWebアクセシビリティに取り組むべき理由と題した講演をさせていただきました。
そしてつい先日、同講演のレポート記事、「ビヨンセの公式サイトも訴えられた」企業Webサイトがアクセシビリティに取り組むべき理由とは?がWeb担当者Forumに掲載されました。当日お話しした内容をかなり精緻に書き起こしていただいており、スライドを見ただけでは伝わらない・わかりにくい部分も、同記事をお読みいただくことで解消できるかと思います。
改めてイベントにご参加くださった皆様、イベントを主催されたシックス・アパートの皆様には、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
講演の冒頭で触れた、アメリカでのWebアクセシビリティ関連訴訟について若干補足させていただきますと、比較的最近にも注目に値するニュースがありました。Webサイトやモバイルアプリから好みのピザを注文できなかったために全盲のGuillermo Robles氏より訴訟を受けたドミノ・ピザ社が、WebやアプリはADAの適用対象外とするよう合衆国最高裁判所に求めていた訴えが、退けられたのです(U.S. Supreme Court Won't Hear The Domino's Case (Hooray!) - Law Office of Lainey Feingold参照)。
企業がWebアクセシビリティに取り組まないでいることで、訴訟を起こされるリスクが高まることは今後ますます、避けられないでしょう。それはインターネットの、Webの普及と密接にリンクしています。障害の有無にかかわらず、誰もがさまざまな状況でWebにアクセスできる・アクセスする必要のある時代だからこそ、Webサイトを運用する側がアクセシビリティ向上に取り組む必要性が強まっているのです。
もちろん法令を遵守し、訴訟リスクを下げることだけがWebアクセシビリティ向上の目的、動機とはなり得ません。そこには多くのメリット、とりわけ機会損失を最小化し、コンバージョンの取りこぼしを減らすという、ビジネス的に極めて前向きな理由もあります。企業のWeb担当者の皆様には、是非その点をご理解いただいたうえで、それぞれに取り組みを始めるなり、維持・強化していただければありがたく思います。