2021年12月第2週に発行されたW3C文書4題
アクセシビリティ・エンジニア 中村(直)12月第2週に、Webアクセシビリティに関連する4つのW3C文書が発行されました。簡単に内容に触れてみたいと思います。
はじめに、12月9日付けでARIA in HTML(参考日本語訳)仕様がW3C Recommendationとなりました(ARIA in HTML is a W3C Recommendation)。
10月の勧告案から実質的な文書の変更はありません。ARIA in HTMLの詳細については過去のブログ記事(ARIA in HTML仕様が勧告案に)を参照してください。
続いて、12月8日付けでAccessible Rich Internet Applications (WAI-ARIA) 1.2(参考日本語訳)がCandidate Recommendation Draftとして発行されています。
前回からの主要な変更点は次のとおりです。
- 実装を反映したIDLおよび列挙属性のセクションの改訂
- 誤って追加されたIDLセクションのariaDescriptionの削除
- プライバシーとセキュリティに関する考慮事項のセクションの追加
- アクセシブルな名前の禁止の定義の明確化
ロールやaria属性は追加されていません。前回(今年3月)の勧告候補からat risk(不安定)とマークされている機能はいくつか減ったもののまだ残っています。at riskの機能がなくなるまでは次のステータスに進めませんから、文書が安定するのにはまだ時間がかかるでしょう。
最後に12月7日付けでW3C Accessibility Guidelines (WCAG) 3.0がWorking Draft として、Explainer for W3C Accessibility Guidelines (WCAG) 3.0がGroup Draft Noteとして発行されました。
WCAG 3.0については、3.6 Error preventionと6.2 User Generated Contentが追加されたことが大きな変更点といったところでしょうか。項目こそ追加されたものの、議論のための叩き台であると思われ、内容を評価するには時期尚早といえるでしょう。
Explainer for WCAG 3.0については、概ねWCAG 3.0のFirst Public Working DraftからWCAG 3.0の背景などといった周辺情報が独立した文書になっており、目新しい内容は存在しないという理解です。