スクリーンリーダーで目的の情報を見つける5つの方法
アクセシビリティ・エンジニア 大塚先月公開した記事、日本視覚障害者ICTネットワークが第2回支援技術利用状況調査報告書を公開の中で、スキップリンクの利用状況について触れました。スキップリンクとは、Webページの先頭からナビゲーションなどを飛ばし、メインコンテンツの開始位置へと移動できるページ内リンクのことを言います。スキップリンクは、スクリーンリーダーを利用して目的の情報へ素早くアクセスする手段の1つですが、そのほかにも、スクリーンリーダーの機能を活用することで、効率よく目的の情報を見つける方法があります。今回は一例として5つの方法を紹介します。また、参考としてそれぞれの機能をNVDAとiOSのVoiceOver(以下VoiceOverと表記します)で利用する方法についても簡単に記載します。
1つ目が、見出し要素間を移動する機能を活用するというものです。ページ内の見出し要素の内容のみを確認し、ページ全体の大まかな内容や、目的の情報がどのあたりに書かれているのかを把握できます。NVDAでは、[h]キーを押すと次の見出し要素へ、[Shift+h]キーを押すことで、前の見出し要素へ移動できます。さらに、1から6までの数字キーを押すことで、それぞれの数字に対応した見出しに移動することも可能です。VoiceOverでは、ローターコントロールを見出しに設定し、上下にスワイプすることで見出し要素間を移動できます。また、外部キーボードを接続し、数字キーを押すことで対応したレベルの見出しへと移動することもできます。
2つ目が、ランドマーク間を移動できる機能を活用するというものです。ナビゲーションや本文、フッターなど、先ほどの見出し要素間の移動と比べより大きな単位でページ内を移動でき、ページの本文へと素早くアクセスしたい場合などに便利です。NVDAでは、[d]キーを押すと次のランドマークへ、[Shift+d]キーを押すと前のランドマークへ移動できます。VoiceOverでは、ローターコントロールをランドマークに設定し、上下にスワイプすることでランドマーク間の移動が可能になります。
3つ目が、フォームコントロール間を移動する機能を活用するというものです。手掛かりとできる見出し要素がないようなWebページで、目的の情報がフォームコントロールの前後にある場合などに活用できます。NVDAでは、[f]キーを押すことで次のフォームコントロールへ、[Shift+f]キーを押すことで前のフォームコントロールへ移動できます。また、テキストボックスやチェックボックスなどといった特定のコントロール単位で移動するためのキーの利用も可能です。VoiceOverではローターコントロールをフォームコントロールに設定し、上下にスワイプすることで、フォームコントロール間を移動できます。また、NVDAと比べると種類は少ないですが、特定の種類のフォームコントロール単位で移動することも可能です。
そして4つ目が、既読のリンク間を移動できる機能を活用するというものです。目的の情報が記載されているページにすでにアクセスしたことがある場合にこちらの方法を活用できます。NVDAでは[v]キーを押すことで次の既読リンクへ、[Shift+v]キーを押すことで前の既読リンクへ移動できます。VoiceOverでは、ローターコントロールを[訪問済みリンク]へ設定し、上下へスワイプすることで既読リンク間を移動できます。
最後に5つ目が、テキスト検索機能を活用するというものです。過去にページを閲覧したことがあり、目的の情報が書かれている部分のテキストを把握している場合などに活用できます。NVDAでは、[Ctrl+NVDA+f]キーを押すことで、テキスト検索画面を表示させることができます。VoiceOverでは、画面を2本指で3回タップすることで、画面内のテキストの検出が可能になります。
このように、スクリーンリーダーを使い目的の情報を探す方法はいくつか存在します。しかし、3つ目以降の方法はページの構造を把握していたり、すでにページを閲覧していないと活用できないものとなっています。そのため、やはりWebページが見出し要素やランドマーク間の移動を活用できるようにマークアップされていることが重要です。