TechFeed AdvanceのYouTube動画連載「Ask the Expert」に出演
エグゼクティブ・フェロー 木達エンジニア向け情報サービスのTechFeedにおいて、新たに「TechFeed Advance」というメディアが立ち上げられました。以前から私は、Web Accessibilityチャンネルの公認エキスパートとしてTechFeedに参加しているのですが、そのご縁でTechFeed AdvanceのYouTube動画連載「Ask the Expert」に出演させていただいたので、お知らせします。
動画のみならず、収録した内容を書き起こした記事『WCAG 3.0は「ぶっとぶ感じ」 ー Webアクセシビリティの最新動向を、木達一仁さんに聞いてきた!』も公開されていますので、あわせてご覧ください。以下、動画や記事の内容に対して若干、補足をさせていただきます。
改正障害者差別解消法に違反した場合の罰則はある?
会話のなかでは、その部分について話すだけで30分はかかってしまうといったと発言をしていますが、端的にいえば違反に対し直ちに罰則が課されることはありません。これは、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてのよくあるご質問と回答<国民向け>の「Q7.企業などがこの法律に違反した場合、罰則が課せられるのでしょうか。」にあるとおりです。
WCAG 1.0は抽象的な内容だった?
既に廃止扱いになっているWCAG 1.0(参考日本語訳)について、抽象的と説明していますが、1つ例を挙げます。WCAG 1.0では、満たすべき個別具体的な内容をチェックポイントとして定義されており、チェックポイント 2.2において前景色と背景色の組合せにつき十分なコントラストを提供することを求めています。より定量的に、数字を使ってコントラストの要件が定義されたWCAG2と比べれば具体性、客観性を欠いていました。
技術変化がWCAGに与えた影響は?
FlashやSilverlightが廃れたことが、WCAGの達成基準に直接影響したかというと、そうではないと思います。そこはやや言葉足らずだったかもしれず、申し訳ありません。両技術のわかりやすい影響は関連文書(Techniques)に対するもので、Techniques for WCAG 2.1(WAICによる日本語訳)からFlashについての達成方法が、またTechniques for WCAG 2.2からはSilverlightについての達成方法が、それぞれ削除されています。影響の大小でいうと、スマートフォンやタブレットなどの、タッチスクリーンを搭載したデバイスの登場や普及が大きかった、と思います。
結局、WCAG 3.0はいつ完成する?中身はどうなる?
私にもわかりません。当社アクセシビリティ・エンジニアの中村直樹が今年はじめに寄稿した「2024年のWebアクセシビリティ」のなかでも、その進捗についてはやや悲観的な予測をしています(「終わってみれば今年も対外的には大きな動きはなかった、ということになる可能性もありえます
」との見解)。そういう意味でも、WCAG 3.0の行く末を必要以上に案じることなく、WCAG 2.2の活用に取り組むのが望ましいと私は考えています。