「みんなの公共サイト運用ガイドライン」が2024年版に改訂
エグゼクティブ・フェロー 木達総務省の公開する「みんなの公共サイト運用ガイドライン」が、2024年版に改訂されました。2016年版との違いについては、以下のような説明がなされています。
2024年版となる本書は、(1)近い将来のJIS改正に向けた動向、求められる取組を解説、(2)公的機関取組事例の刷新、(3)関係法令、参照文書等の最新化を行ったものです。
残念ながら、上記より細かい粒度の差分が提供されていないため、2016年版と2024年版のPDFファイルをAdobe Acrobatの「ファイルを比較」機能で比較したところ、503件の置換、185件の挿入、128件の削除の都合816件の変更があったようです。
両者の目次を比較しますと、構造的に大きく変更されているのは、まず「1. 運用ガイドラインの目的と活用方法」です。1.4.以降の内容が、以下のように変更されています(タイトルが「JIS X 8341-3:2016」の中身については、大きくは変わっていません)。
2016年版 | 2024年版 |
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1.4. 運用ガイドラインの改定概要 1.5. JIS X 8341-3:2016 |
1.4. JIS X 8341-3:2016 1.5. JIS X 8341-3改正の見通し 1.6. JIS X 8341-3改正に向けて求められる取組 |
また、「3. 運用ガイドラインが求める取組とその期限」については、構成が全体的に以下のように変更されています。
2016年版 | 2024年版 |
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3.1. 2010 年度版において示されていた期限と達成等級の目安 3.2. 運用ガイドライン(2016年版)が求める取組と期限 |
3.1. 前提となる事項 3.2. 公的機関に求める取組 3.3. JIS改正までに公的機関が行う取組 3.4. JIS改正後の取組 3.5. 期限 3.6. (参考)2016年版において示されていた取組と期限 |
ほかに目次を眺めていて気になった違いは、「9. 関連情報」で「9.4. (参考)視聴覚障害者情報提供施設等一覧(情報提供:厚生労働省)」の項目名が「9.4. (参考)点字図書館、聴覚障害者情報提供施設一覧(情報提供:厚生労働省)」へ微妙に変更されたことと、【事例】のセクションが追加され、ガイドラインの随所に挿入されている事例のページ番号が列挙されたこと、でしょうか。
ちなみに2016年版と2024年版とでは、事例として取り上げられている公的機関が以下のように刷新されています。
2016年版 | 2024年版 |
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より細かい粒度で、個人的に気になった変更点を列挙しますと、以下のような点があります。
- 将来のJIS改正に対応するための取り組みを推進するよう積極的に呼びかけている
- 今年4月1日に施行された改正障害者差別解消法の内容が反映されている
- 「日本工業規格」が「日本産業規格」に修正されている
- 「工業標準化法」ではなく「産業標準化法」を参照するように修正されている
- 障害者基本計画の参照先や引用内容が更新されている
- ウェブアクセシビリティ基盤委員会の公開する、より新しい翻訳文書(例:WCAG 2.1解説書)が紹介されている
- Flashへの言及が削除されている
以上、2016年版との差異をご紹介してきましたが、「みんなの公共サイト運用ガイドライン」は公共サイトに限らず、さまざまなWebサイトにおいてアクセシビリティ向上の参考になるガイドラインではないかと思います。まだご覧になったことがないという方は、ぜひこの機会に参照されてはいかがでしょうか。