Well-Known URIsに基づくアクセシビリティ向上のアイデア
エグゼクティブ・フェロー 木達コラム「広島で開催されたW3C AC会議」ではAC会議は外部に非公開のクローズドなもの
と書きましたが、いくつかの講演やプレゼンテーションについてはその後、YouTubeのW3C公式チャンネルで公開されています。そのなかからアクセシビリティに関するものとして、Exploring making site navigation more accessible, with "well-know destinations"をご紹介します。これは、WAI-Adapt Task Forceで検討中のアイデアを、ライトニングトーク形式で紹介したものです。
RFC 8615 Well-Known Uniform Resource Identifiers (URIs)という仕様があり、「よく知られた場所」のパス接頭辞として「/.well-known/」を定義しています。また関連して、IANAのWell-Known URIsでは特定のリソースの「よく知られた場所」が列挙されており、中でもsecurity.txtは比較的よく知られているのではないかと思います。
WAI-Adapt Task Forceでは上記の考え方を流用して、トップページやログインページなど多くのWebサイトに共通するページを「よく知られた場所」として定義し、サイト固有のビジュアルデザインやナビゲーションスキームに依存することなく、アクセスしやすくするアイデアを検討中とのことです。
このライトニングトークを聞いて私が思い浮かべたのが、かつてWebページのlink要素に基づくナビゲーションを提供していた、レンダリングエンジンにPrestoを採用していた当時のOperaです。ページ個別に指定しなければならない点は、Well-Known URIsのアプローチと異なりますが、ビューポート内とは別途ナビゲーションを提供しようとしている点で近いものを感じました。
このアイデアが今後どうなるかわかりませんが、サイトごとに呼称も場所も異なるアクセシビリティ方針のページにもアクセスしやすくなることを想像しますと、なかなか興味深いです。ライトニングトークで紹介されていたデモはSamsungInternet/wkd-prototype: Demo browser extension for the WAI-Adapt 'Well-known destinations' proposalにありますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。