NVDAで読み上げ方をカスタマイズする方法
アクセシビリティ・エンジニア 大塚スクリーンリーダーのNVDAでは、単語の読み上げ方を変更できる「読み上げ辞書」という機能が利用できます(NVDAのユーザーガイドも併せて参照ください)。
この機能は、NVDAメニューの設定の中にある「読み上げ辞書」から利用できます。NVDAの読み上げ辞書には、以下の3種類が存在します。
- 既定の辞書:登録した読み上げは、すべての読み上げに適用されます
- 音声辞書:登録した読み上げは、現在利用している音声エンジンのみに適用されます
- 一時辞書:登録した読み上げは、すべての読み上げに適用されますが、NVDAを再起動すると削除されます
それぞれの辞書の画面は共通しており、単語を登録する場合は、登録したい辞書を選択し、追加ボタンを押します。「パターン」には読み方を変更したい単語を、「読み方」には変更後の読み上げ方を入力します。「コメント」には、読み上げ方を変更する意図などを必要に応じて入力します。コメントに入力した内容は、登録した読み方の一覧画面に表示されますが、読み上げそのものには影響しません。
パターンに入力した内容で大文字、小文字を区別したい場合、「大文字小文字を区別」のチェックをオンにします。「種別」では、読み方を変更する条件を以下から選択できます。
- 任意の部分:どのような場合にも読み方を変更します
- 単語全体:パターンに入力した単語が、さらに長い単語の一部である場合に読み方を変更しません。例えば、パターンに「おはよう」と入力した場合、「おはようございます」という単語の読み方は変更されません。
- 正規表現:パターンを正規表現で指定します
単語の読み上げ方の変更というと、スクリーンリーダーの誤読を修正するための利用を想像される方もいらっしゃるかもしれません。もちろんそうしたこともできるのですが、単語を短く読み上げたり、まったく読み上げないようにして、情報取得や操作を効率化するためにも利用できます。
例えば、私が業務で利用しているあるWebサービスでは、項目の一覧をスクリーンリーダーで読み上げさせた際、項目を読み上げる前に都度「セルを選択します。スペースを使用して選択を切り替える」と読み上げ、項目名を知るのに時間がかかります。そのため、前述したフレーズを読み上げないように設定しています。
音声からの情報取得は、どうしても視覚による情報取得と比べ時間がかかってしまいます。読み上げ辞書機能は私にとって、スクリーンリーダーでの情報取得を効率化するための1つの手段となっています。