シーグラフアジア2015 参加レポート
私は、先日、11月2日から5日の4日間、神戸国際会議場・神戸国際展示場にて開催された「第8回ACMシーグラフアジア2015(The 8th ACM SIGGRAPH Conference and Exhibition on Computer Graphics and Interactive Techniques in Asia、以下シーグラフアジア2015)」に参加してきました。
アメリカをベースとするコンピュータ科学の学会であるACM(Association for Computing Machinery)が主催していることからも分かるように、ジーグラフアジアはアジアにおけるコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術のカンファレンスと展示が行われるイベントです。
自分は、インタラクティブテクノロジーに関する発表や展示が行われる「Exhibition」と「Emerging Technologies」、映像・サウンド・パフォーマンス・インスタレーションなどのデジタル技術を活用した作品を展示した「Art Gallery」、CGやインタラクティブ応用技術などのテーマをもとに参加者たちが議論する「Symposium」を中心に参加し、最新のインタラクション・コンテンツの研究動向を確認することにしました。
この記事では、写真を交えてインタラクション・コンテンツと関係の高い「Exhibition」「Emerging Technologies」の風景を紹介します。
毎年発展されて少しずつ実用化されているAR、VRなどの研究領域に支えられて、今回のイベントでは従来のPCモニターを超えて、様々な方法で映像や画像を表示する技術がたくさん紹介されていました。
まず、代表的なヘッドアップディスプレイ「Oculus」を用いたコンテンツを紹介するところが多く見られました。
車運転のシミュレーション、他人の目線を体験など、主に疑似体験を目的としたゲーミフィケーション要素が含まれているコンテンツが多かったです。
画像認識とプロジェクションマッピングを組み合わせて、高速で動いているボールをリアルタイムで認識して映像を映す「Ballumiere」技術もありました。
新しい素材を利用したディスプレイもありました。結露を使って情報を提示するディスプレイ「Ketsuro-Graffiti」がそれです。
曇っても表示が可能なため、シャワー室に本日の天気を表示したりするところに活用できそうですね。
最後に紹介するのは、再帰性反射(Retro-Reflection)用いて空中に映像を映す「R2D2 w/ AIRR」です。
両手を認知して、その間に太陽の映像を表示します。両手の間の距離を広げたり、狭めると太陽の大きさが変わります。
他にも、3Dモニターに2つの映像を送出して偏光メガネで見たら別の映像が映せる富士通SSLのExPixel技術も注目されていました。
「Symposium」セッションのテーマもそうでしたが、「Emerging Technologies」の主な内容も従来のPCメインの技術を超えて、IoTデバイスのように実生活で活用することを目的にして、馴染んでいるアナログ経験をデジタル化する研究やデモが多かったと思います。
シーグラフアジア2016は、マカオで開催されます。来年はどのような技術が発表されて注目されるか楽しみです。