ASML : 複雑な技術を分かりやすく伝える
オランダ・フェルトホーフェンに本社を構える半導体製造装置メーカーASMLは、分かりやすい教育コンテンツで訪問者の業界理解を助けるとともに、同社の専門性と革新性に対する評価を高めています。
(この記事は、2021年5月4日に公開された記事「BC Tips : Communicating complex technology」の日本語訳です。)
The Feature(特筆すべきこと)
半導体露光機の市場で約8割のシェアを占めるASMLは、半導体サプライチェーンの要となる存在であり「あまり知られていないが、最も重要なハイテク企業」を自負しています。
ASMLは、最新技術を支えるマイクロチップの製造に欠かせない、露光による表面加工技術を提供しています。
世界16カ国に拠点を置き、26,000人以上の従業員を抱えるASMLは、2020年に140億ユーロの年間売上高を記録しました。
そのASMLは、Webサイトで「マイクロチップができるまで」というページを公開し、マイクロチップの複雑な製造工程の概要を、魅力的なテキスト、画像や動画、インフォグラフィックで紹介しています。
例えば次のような文章です。「マイクロチップの製造工程には何百ものステップがあり、設計から量産まで4カ月かかることもあります」。
ほかにも、最大で100もの層が重なり合っているマイクロチップを「小さな高層ビル」に例えています。
そして、製造現場に必要な空気のきれいさは「外気の約1万倍」であると説明しています。
さらに、同ページ内に「マイクロチップメーカーの種類」というコンテンツを用意し、半導体サプライチェーンを構成するマイクロチップメーカーの、事業形態の細かな違いについて簡潔にまとめています。
The Takeaway(ここから得られる知識)
ASMLは、Webサイト訪問者の多くが「ASMLは何をしている会社か」に関心があることを知っています。そして「マイクロチップができるまで」のようなコンテンツが、訪問者の関心に応える重要な役割を担うと考えています。
このコンテンツは、マイクロチップ製造に関する予備知識がないユーザーが読むことを前提として、編集をおこなっています。ユーザーが理解しやすいように要約や比較を巧みに利用しているほか、他企業サイトの「イノベーション」カテゴリーによくありがちな、専門用語や複雑な技術的表現を避けています。
これは、企業や業界を理解したい訪問者の役に立つコンテンツです。同時に、ASMLの専門性と革新性に対する評価も高めることでしょう。
1つ改善点を挙げるとすれば、コンテンツ内にあるインフォグラフィックは、参考情報の多さゆえに、デスクトップでもモバイルでも、スクロールしにくさを感じました。
他のテクノロジー企業も、自社製品やサービス、業界について説明する際は、同じようなアプローチを採用するべきだと思います。
また他の、たとえ面白みがないと思われている業界でも、適切な方法で紹介すれば、興味深く見てもらえるはずです。
https://www.asml.com/en/technology/all-about-microchips/how-microchips-are-made