European Central Bank : 組織の存在意義を明確に伝える
欧州中央銀行(ECB)は、Webサイトの「About」カテゴリーのトップページで、何を主事業としているのか、どのような社会貢献をしているのかを簡潔に説明することで、銀行の評判を巧みに高めています。
(この記事は、2021年6月1日に公開された記事「ECB - Clarity of purpose」の日本語訳です。)
The Feature(特筆すべきこと)
ユーロ通貨圏19カ国の統一的金融政策を担っている欧州中央銀行(ECB)は、Webサイトにある「About」カテゴリーのトップページで、主要な活動の概要とともに、その責任のさまざまな側面について、掘り下げて説明しています。
ページ上部には「We keep prices stable and your money safe(私たちは、価格を安定させ、お客さまのお金を守ります)」という、ECBの主な役割が簡潔にまとめられています。
その左にある文章は、ECBの活動をさらに詳しく説明しています。「We do this so that you will be able to buy as much with your money tomorrow as you can today(私たちは、お客さまが明日も、今日と同じくらいのお金で、同じくらいのものが買えるよう、この活動を行っています)」。
そして、「インフレを抑制する」「銀行システムの安全性に貢献する」「ユーロ紙幣を開発・発行する」など、ECBの業務内容の要点を5つに絞って紹介しています。
The Takeaway(ここから得られる知識)
企業のWebサイトにはよくある「about」カテゴリーですが、そのトップページで「組織が何をしているのか」を明確に理解できることは珍しいと言えます。
企業や組織のWebチームが、意図して不明確なコンテンツを公開するはずはありません。しかし、社内の優先順位やさまざまな部門のプレッシャーによって、正確さや完全性が損なわれてしまうことは、よくあります。
恐らく、中央銀行という名前は聞いたことがあっても、何をしているかは知らない人が多いのではないでしょうか。
ECBは、このことを理解しています。その上で、オンライン・コミュニケーションへの戦略の基礎としているようです。
また、文章が非常に優れているおかげで、重苦しい雰囲気はなく、組織の「存在意義」が自然に伝えられています。
その結果、訪問者にもECBのステークホルダーにも、効果的な「about」ページとなっています。