Volkswagen : 二酸化炭素を抑えたデジタルコミュニケーション
自動車大手Volkswagenは、サステナブルな閲覧体験の有意義な先行例を示した。
(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2022年2月21日に公開された記事「Volkswagen : Carbon-saving digital communications」の日本語訳です)
The Feature(特筆すべきこと)
ドイツの大手自動車メーカーVolkswagenのカナダ支社は、電気自動車の普及を促進するため、炭素効率の良いWebサイト(vw.ca/carbonneutralnet/en/)を開設しました。
このWebサイトは、わずか6ページという構成です。そこには、e-モビリティや未来の電気自動車に関するイノベーションについて紹介する記事、FAQカテゴリーなどもあります。
基本的な製品情報も掲載していますが、試乗の予約や車種の比較のためには、「サステナブルな閲覧体験」から離れ、「メインサイトでの通常体験に戻る」必要があります。
サステナブルなWebサイトは、洗練されたグレースケールを基調に青をアクセントとした配色で、上のスクリーンショットでもわかるように、ページ全体が画像を含めてモノクロの文字だけで構成しています。
画像細部の表現力は従来の写真とほぼ同等ですが、文字だけを使って表現しているため、ファイルサイズが大幅に少なくなっています。
このサイトの目的は「デジタル世界におけるサステナビリティをカナダの人々に教えること」です。冒頭の紹介文で、このサイトを白黒の文字だけで構成することで、インターネット上でのデータ転送に必要なエネルギーを少なくでき「二酸化炭素排出量の削減に効果的」であることを説明しています。
また、Volkswagenカナダのメインサイトへのリンクも、多数用意しています。
The Takeaway(ここから得られる知識)
Volkswagenは早くから、企業のデジタルコミュニケーションに伴う二酸化炭素排出量について、Webサイトで紹介してきました。
「月間10万PVのWebサイトが1年間に発生させる二酸化炭素量は2,110kgで、これはバーベキュー用プロパンガスの87個分に相当する」という事実を冒頭で紹介し、ユーザーの関心を引き付けています。
実際、企業のWebサイトはカーボンニュートラルとは程遠い状態です。
国際的な科学ジャーナルであるNature誌によると、世界中にあるデータセンターの年間電気使用量合計は、イギリス1カ国の電気使用量を上回っており、インターネットを国に例えると、世界で6番目になるそうです。
「デジタル・カーボンフットプリント削減」は、「サステナブルWebデザイン」や「カーボンニュートラルWebサイト」と並んで耳にすることが多くなった言葉ですが、現状ではまだ認知度が低く、企業のWeb担当者による対策はほとんど行われていません。
Volkswagenの取り組みは、教育を主目的としていますが、電気自動車の販売促進も兼ねています。