今こそ企業Facebookのプレゼンスを見直す時です
InstagramやTikTokといったSNSの人気が高まり、Twitterの先行きが不確かな今、企業チャネルとしてのFacebookを再評価する良い時期です。
まだ役立つのか? 誰にリーチするのか? 何を投稿すべきか?
(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2023年2月7日に公開された記事「It's time to re-think your Facebook presence」の日本語訳です)
先述のような疑問に答えるため、Bowen Craggs Indexのリーダー企業や、アメリカの経済誌Forbesが発表する独自ランキング「The Global 2000」の上位100企業、関連する外部調査を基に、Facebookの利用状況を調べました。
そして、Facebookのプレゼンスに関して、企業が考慮すべき3つの重要な要素がわかりました。それは、ユーザー統計データ、エンゲージメント指標、そしてコンテンツ戦略です。
1. Facebookのユーザー統計と増加率から見えること
近年、Facebookは高齢者層向けという認識が浸透し、企業チャネルとしての影響力が低いと見なされています。
しかし、企業のFacebook利用には、見逃されがちですが重要な利点があります。それは、高齢者層は若年層ほど多様なSNSを利用していないことです。今後Facebookのユーザーはますます高齢者層に限定され、日常生活でさまざまなSNSを閲覧するであろう若者とは異なる高齢者層には別のSNSを使ってもリーチできません。
通常、Facebookのユーザー統計は、アクティブユーザー数を重視します。これは潜在的な閲覧者を考える静的な方法です。現在、Facebookではミレニアル世代(26歳~41歳)のユーザーが他のどの年齢層よりも多いのですが、その数はそれほど急に増えてはいません。実際、2018年から2019年にかけて、65歳以上のユーザーは26%から40%へと、14%も増加しましたが、ミレニアル世代は2%の増加にとどまりました。
企業としては、若年層を惹きつけるプラットフォームを優先したくなるかもしれません。しかし、Facebookは高齢者層にリーチできる唯一のSNSである可能性が高く、実際にこの年齢層のユーザーが増加していることを、忘れてはいけません。
2. エンゲージメントの数値が低くても落胆しないでください ― ページの視聴回数は必ずしも「いいね!」の数で決まるわけではありません
ブランドのSNSにおけるエンゲージメントを評価するとき、「いいね!」やフォロワーの数が主要な指標とされることが多いです。しかし、実際にコンテンツがどれだけ読まれたかが、これらの指標に正しく反映されているとは限りません。
閲覧者は企業の投稿を見てはいるものの、プラットフォームによってアルゴリズムが異なったり、ユーザー層によってコンテンツとの接し方が異なったりと、さまざまな理由から投稿に反応していない可能性があるからです。
それよりも、Facebookの有効な指標は、Facebookアカウントのページビュー数です。プラットフォーム上で検索でき、閲覧者の年齢でフィルタリングできます。
Bowen Craggs Indexのリーダー企業各社が運営するFacebookとInstagramを比較すると、フォロワー数と「いいね!」の関係にズレがありました。Facebookアカウントにはより多くのフォロワーがいる一方で、Instagramの投稿には、より多くの「いいね!」がついています。
例えば、イギリスの食品・日用品大手Unileverは、運営するFacebookとInstagramのアカウントで、ほぼ同じ日に、同じ内容とバイオグラフィーで投稿しています。最近の投稿では、フォロワー約400万人のFacebookよりも、フォロワー数18万8000人のInstagramのほうが、多くの「いいね!」を獲得しました。
これは、閲覧者が積極的にコンテンツに反応しなくても、Facebookはコンテンツを広めるのに適切なSNSだということを示しています。これを理解しておけば、企業はチャネルに適したコンテンツ作成に注力しやすくなります。
3. コンテンツを賢明に多様化しよう
世界的なメガバンクのHSBCやRBC、鉱山・金属会社であるRio Tintoなど、Bowen Craggs Indexの上位30社や、Forbes「The Global 2000」の上位100社に入る企業の多くは、Instagram、Facebook、Twitter、LinkedInなどの投稿を複製またはアカウントの特性に適応させることで、ソーシャルメディアプラットフォーム全体で一貫したプレゼンスを維持しています。
ここでいう複製というのは、全く同じコンテンツとキャプションを使用した完全な複製か、各プラットフォームの規範と閲覧者の期待に合わせてフォーマット、キャプション、画像、トーン&マナーを適応させた複製のいずれかです。
ドイツの大手製薬会社Bayerは、複製したコンテンツとプラットフォームに合わせて適応させたコンテンツの両方を使用しています。しかし、サステナビリティのような重要で広範なテーマについての投稿は、完全に内容をカスタマイズしています。それは、Bayerが女性の健康に関して、Instagramに投稿した動画からもわかります。
この動画は、本格的なビデオ通話によるインタビュー形式で収録されています。この形式の動画は、より若く、おそらくタブーを破ることに寛容な閲覧者に適しています。同じ動画をFacebookに投稿しても、閲覧者が期待する内容や形式ではないため、異なる反応が返ってきたかもしれません。
また、Bayerは同社CEOがリサイクル施設の落成式に出席している写真をTwitterに投稿しました。この写真は、Instagramでは視覚的に十分なインパクトがなく、ストーリー性に焦点を当てたFacebookアカウントでは、企業PRらしさが強すぎるかもしれません。
そして、子どもたちがサステナビリティについて語る動画は、BayerのFacebookアカウントでのみ公開しています。この動画はデスクトップでの視聴に最適化されていて、動画の長さを考えるとInstagramではあまり効果がないでしょう。この子どもたちがサステナビリティについて語る動画は、お子さんやお孫さんがいる閲覧者に対して、よりアピールできるコンテンツです。
Bayerは、各プラットフォームの閲覧者と、そこでの期待値に合わせて、特別にコンテンツをキュレートしています。もし、3つのプラットフォームすべてでBayerのアカウントをフォローした場合、さまざまな情報やストーリーを見ることができるでしょう。そしてもし、1つのプラットフォームだけでフォローした場合、その人に合わせたコンテンツを入手できます。
BayerのFacebookでは、子どもたちを取り上げて親世代の閲覧者にアピールしたり、家族を持つ従業員を紹介したり、歴史的な出来事をテーマにしたストーリーを作ったりしています。
まとめ - Facebookの適切な役割を見つけよう
今こそ、Facebookにおける貴社のプレゼンスを再考する良い時期です。このプラットフォームは、ソーシャルメディアで高齢者層にリーチする唯一のチャンスかもしれません。
また、「いいね!」の数は少ないかもしれませんが、それはFacebookの投稿が閲覧者にインパクトを与えていないわけではないことが、Bowen Craggsが多くの企業を調査した結果からわかっています。そして、Facebookをチャネルとして過大評価も過小評価もせず、閲覧者が誰で何を望んでいるのか、プラットフォームで何を見たいのかに焦点を当てることが重要です。