コーポレートサイトで顧客をイライラさせない方法とは?
ほとんどのコーポレートサイトにとって、主なターゲットユーザーは顧客ではなく、投資家、ESG専門家や求職者です。しかし、Bowen Craggsの訪問者調査によると、顧客は求職者に次いで2番目に多い訪問者であることがわかっています。
(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2024年3月23日に公開された記事「How not to annoy customers on your corporate website」の日本語訳です)
また、同じ調査から、顧客がコーポレートサイトを訪れる主な理由は、情報収集と問題の解決であることがわかっています。たとえ企業側がサービスサイトなど別のサイトを訪問することを望んでも、顧客はコーポレートサイトを訪問するでしょう。もしコーポレートサイト上で直接、顧客にサービスを提供することを望まないのであれば、代わりとなる別サイトへの誘導を明確にすることが重要です。
Bowen Craggsの調査、特に自由記述形式の回答欄からは、顧客の不満には共通するテーマが見られます。顧客は、有益で効率的なサービスの欠如にしばしば不満を抱いていたり、サステナビリティに関する情報をより透明性の高い方法で提示することを求めていたりします。
こうした不満の中には当然、企業のデジタルチームでは手に負えないものがあります。しかし、顧客に向けて効果的にサービスを提供する方法は確かにあります。この記事では、認識しておくべき顧客の主な不満と、それに対処するための簡単な解決策を記載します。
引用はすべて、企業サイトの訪問者が実際に残したコメントで、匿名化しています。
不満1. 企業への論争に対する透明性の欠如
「事件や論争があった出来事」について、企業側からのコメントを求める
企業が事件や論争に巻き込まれたとき、まず何をすべきかを判断するのは難しいことです。そのため、顧客に納得してもらうことは、最優先事項ではなくなっているかもしれません。しかし顧客は、製品やサービスを購入するなど、自分が投資している企業について知りたいと考えるはずです。そして、企業のスタンスや、何らかのコメントや行動を確認するため、コーポレートサイトに殺到するでしょう。サイトの中心的な場所に企業からのコメントを掲載することは、顧客が求めているものであり、効率的な解決策でもあります。
不満2. サステナビリティに関する情報を誠実に伝えない
「DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の取り組みが行われている実績がない」
「本当の情報・データ・リンクがない、曖昧な姿勢 (企業は、世論とSEOだけのために情報を公開している)」
従業員データから環境パフォーマンスデータまで、ESG関連情報を公開することは、チェックボックスにチェックを入れるような単純な作業ではありません。中途半端な情報や適切な裏付けがない情報は、顧客に見抜かれてしまいます。顧客は、他の訪問者グループと同様に、誠実なアプローチでESG情報を開示してほしいと考えています。企業は誤った点を認め、目標とその進捗状況をデータで裏付け、社会貢献・慈善活動がどのような成果を上げたかを示すべきです。
不満3. サービスや製品のセクションが不明瞭
「貴社サイトはエラーとリンク切れで地獄絵図のようです。さらに、製品問い合わせツールにすべての製品がリストされていません」
デジタルチームが顧客をコーポレートサイトから遠ざけたい主な理由は、地域によって提供している製品も異なるため、(地域別に作られている)サービスサイトのほうが顧客にとってより適切だと考えているからです。しかし、実際には多くの顧客が、提供されている製品やサービスの概要、関連するブランドや国・地域別のサイトへの明確な導線やリンクを、コーポレートサイトに求めています。
製品メニューや選択ツールに数行の説明文を掲載し、顧客が自分に最適なソリューションが何かを判断できるよう、サービスの詳細を説明してください。
不満4. 取締役たちへの連絡
「取締役たちと連絡を取りたい、CEOと話がしたい。」
「秘書やアシスタントに連絡するための直通電話番号を含む、企業幹部の完全リストにアクセスできるようにしてほしい」
企業の最高幹部の連絡先情報をWebサイトで公開することは、おそらく非現実的です。しかし、連絡先の非掲載は顧客のよくある不満です。顧客は、サービス不足に不満を持ったり、イベント・製品・情報の欠如などに憤慨したりしたとき、苦情を訴えたくなります。たとえ取締役やCEOに直接連絡できる情報を提供しない場合でも、顧客からの問い合わせや苦情を受け付ける明確な導線やプロセスは、コーポレートサイトに必須です。
不満5. 顧客に対するサービスが不十分
「責任者と連絡が取れず、折り返しの電話もなかった」
顧客がコーポレートサイトを訪れる最も多い理由の1つは、サービスの欠如に対する苦情です。適切な連絡先が見つからない、役立つ回答が得られない、などの理由で、顧客は企業サイトに情報や解決策を探しに来ます。そのため、コンタクトが取れる経路を顧客に提供したり、適切なサイトに移動させたりすることは非常に重要です。
不満6. サービスサイトへの不明確な道すじ
「製品サンプルを注文するときに、別名のWebサイトがあり、どちらのサイト名が正しいか思い出せない」
「サインインできるはずなのに、そのためのボタンやリンクが見当たらない」
顧客は、個人向けネットバンキングや保険マイページにログインするとき、医者従事者が医療情報にアクセスするときなど、関連するマイクロサイトに簡単にアクセスできることを望んでいます。これらのマイクロサイトへの導線やリンクが下層ページに埋もれていたり、コーポレートサイトから見つけられなかったりした場合、顧客は大きな不満を抱くでしょう。コーポレートサイトから顧客を誘導する場合は、国・地域ごとのディレクトリを最新の状態に保ち、ページのフッターにも有用なリンクを充実させることが、特に重要です。