貴社サイトのアクセシビリティを持続的に向上させる6つの方法
Webアクセシビリティに真剣に取り組んでいない企業が訴えられ、罰金を科されることがある今、デジタル担当者は、自社サイトで具体的な対策を講じる必要があります。アクセシビリティを適切に実行することは、世界人口の16%を占める障害がある人々に対する正しい取り組みでもあります。では、何から始めればよいのでしょうか?
(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2024年5月1日に公開された記事「Six ways to sustainably improve accessibility on your site」の日本語訳です)
今まで、アクセシビリティを重視してこなかった組織にとって、最近多くの企業サイトや商用サイトに登場している、さまざまなサードパーティが開発したアクセシビリティ・オーバーレイの魅力は、わかりやすく映るでしょう。このようなツールは、難しい問題を即座に解決してくれます。
それは良いアイデアで、新しいツールの中には便利なものもあります。しかし、構造やコードにアクセシビリティ上の問題があるWebサイトに、これらのツールを導入しても、事態は改善されません。例えば、スクリーン・リーダーを利用している閲覧者は、自分好みのツールを使って、サイトのコンテンツ間を簡単に移動できる必要があります。そのためには、情報の構造やタグの付け方を、慎重に選択することが必要です。オーバーレイでカスタム・コントロールを提供して、規制当局や上司の目をごまかしても、そのような閲覧者にとっては、何の役にも立ちません。
最近、イギリスの非営利団体AbilityNetのアクセシビリティ・コンサルタントと話す機会があり、私はこの分野における真のグッドプラクティスとはどのようなものかを、より深く理解しようと努めました。結果、この分野がいかに複雑であるかを深く理解できました。さらに、努力して適切な質問をするような人なら誰でも、アクセシビリティについて知識を深められるという信念を新たにしました。
以下が、サイトのアクセシビリティを向上させるための6つのアイデアです:
1.「アクセシビリティ」に関するページを公開するか、既存ページを改善する
アクセシビリティに関するページを持つことは、重要な信頼シグナル(信頼性を示す要素)であり、既製のオーバーレイよりも優れた出発点となります。違いを出そうとして、ページを複雑にする必要はありません。企業サイトにおける同様のページの最たる例は、明確で、徹底的で、誠実で、定期的に更新されています。 イギリスのメガバンクBarclaysは、国内向けサイトのアクセシビリティ・エリアで、さまざまな閲覧者に直接語りかけています。また、ノルウェーのアルミニウム製造大手Norsk Hydroは、アクセシビリティ・ページが未完成であることを公表するなど、透明性を示しています。2社のやり方に注目してください。
2. チーム内で、アクセシビリティ推進者を任命する
Bowen Craggsが協力しているある企業は、組織全体の意識を高め、変化を推進することに重点を置いたDigital Accessibility Taskforceを立ち上げ、アクセシビリティのベストプラクティスにおいて大きな進歩を遂げました。その企業のように、貴社もチームから1人を指名して、より小さな範囲で同様の取り組みを行うよう依頼すること。そして、専門知識を高めるためのトレーニングとサポートの供給を検討してください。なお、AbilityNetは、Webサイトを通じて、無料の学習リソースと有料のトレーニングモジュールを提供しています。
3. 従業員にフィードバックを求める
アクセシビリティとは、最終的には人間の問題であり、技術的なコンプライアンスではありません。貴社の中にも、さまざまなアクセシビリティのニーズを持つ従業員が、恐らく存在しているはずです。人事部または会社の従業員グループを通じて、そのような従業員に接触し、企業のデジタルチャネルに対するフィードバックを依頼することを検討してください。そして、彼らが指摘した問題点に基づいて、改善の優先順位を設定してください。
4. 見出しタグに「愛のむち」を与える
H1、H2などの見出しタグは、支援技術を使ってWebサイトを利用する人々にとって重要です。Bowen Craggsでは、ベンチマークレビューでアクセシビリティ評価するためにサイトをチェックしますが、見出しタグの使い方が不十分であったり、一貫していなかったりするケースの多さに、私はいつも驚かされます。ユタ州立大学が公開しているWAVE アプリにいくつかのURLを入力し、それぞれ「Structure」タブをクリックすると、Webページのパフォーマンスを簡単にチェックできます。
各ページには、メインの見出しに 1 つの H1 タグがあり、それを順序よく並んだH2、H3などの補助見出しがサポートしています。ページにこれらのタグが一定数以上あると、順序が正しくても、問題が起きる可能性があります。通常、見出しではないテキストに見出しタグが付けられていることがあると、タグの意味が全体的に失われてしまいます。もし見出しを修正する場合は、サイトで最もアクセス数の多いページから始めてください。部署内の編集者に優れた実践方法を教育することは、有益な次のステップとなるでしょう。
5. 「新しいウインドウ」のポリシーを見直す
Bowen Craggsでは以前から、混乱を減らすために、サイト外へのリンクは新しいウインドウや新しいタブで開くように設定することを提唱してきました。しかし、アクセシビリティの観点から見ると、この手法は一部の閲覧者に混乱を引き起こす可能性があります。これには「視覚的なコンテンツを理解するのが難しい(W3Cのガイダンスノートを引用)」閲覧者も含まれます。解決策は、新しいウインドウやタブを控えめにして、細心の注意を払って使用することにあるようです。どのようなポリシーを採用するにしても、閲覧者がサイト外へのリンクをクリックまたはタップしたとき何が起こるかについての、一貫した実行と明確な通知は、これまでと同様に重要です。
6. ダークモードを実装する
スイスの大手飲食メーカーNestlé やイギリスのエンタメ会社Sky Group/が現在提供しているようなダークモードは、気候変動への取り組みとしてよく宣伝されますが、アクセシビリティへの影響はさらに大きいと言えるでしょう。明るすぎるページや込み入ったページは目に負担がかかるため、暗いWebページを好む閲覧者は、デバイスでダークモード設定を選択できます。しかし、ダークモード機能が適切に設計しておけば、より良い体験を提供できるでしょう。先進的なCMSパッケージの中には、ライトまたは標準テンプレートをほぼ瞬時にダークモードに変換でき、すぐに効果が得られるものもあります。