Responsible Responsive Design
エグゼクティブ・フェロー 木達A Book Apartより、『Responsible Responsive Design』と題する本が発売されました。レスポンシブデザインのことを誤ってレスポンシブルデザインと書かれたり言われたりするケースがいまだ散見されますが、本書のタイトルには「レスポンシブル」「レスポンシブ」両方の単語が含まれています。ちょっとややこしいですね。責任あるレスポンシブデザインとは何か?といった感じでしょうか。著者はScott Jehl氏です。
本書は、同じくA Book Apartより2011年に出版されたEthan Marcotte氏の著作『Responsive Web Design』の後継という位置付けの印象があります。同書でレスポンシブデザインを学んだ私は、早速『Responsible Responsive Design』も購入、電子版をダウンロードしてみたのですけど、序文をMarcotte氏がお書きになっていたのは、非常に自然なことと感じられました。
発売から間がなく、さすがに全てを読み終えてはいないのですが、ざっと眺めたうえでの内容を以下簡単にご紹介したいと思います。冒頭のイントロダクションにおいては、レスポンシブWebデザイン誕生の経緯に続き、タイトルにある「Responsible Responsive Design」とは何か、を述べています。曰く、レスポンシブデザインに対して以下の4つの視点を加えてプロジェクトを進めることを指しているようです。
- ユーザビリティ
- アクセシビリティ
- 持続可能性
- パフォーマンス
イントロダクションに続く4つの章の構成は、以下の通りです。
- Responsible Design
- ユーザビリティやタッチスクリーン、アクセシビリティを絡めながら、「レスポンシブルな」レスポンシブWebデザインの果たす役割、実現することを紹介しています。
- Sustainable Detection
- 適切なユーザー体験をもたらすとの視点から、ユーザーの使用している閲覧環境の機能なり制約をいかにコンテンツ提供側が把握し、かつそれをデザインに反映させるか、を説いた章です。
- Planning for Performance
- 表示パフォーマンスの向上のために知っておくべき基礎知識に始まり、リクエスト数やダウンロードされる総ファイル容量の削減に向けた施策、また便利なツール(CodeKit、Grunt)の紹介までを取り上げています。
- Delivering Responsibly
- 「Responsible Responsive Design」の実現に向けHTML、CSS、画像、フォントそれぞれについて必要な取り組みのまとめ。ある意味、前の「Planning for Performance」の続きのような内容でしたが、個人的にはこの章が一番興味深かったです。
レスポンシブWebデザインは、その誕生以来、原義に加えて独自の主張、特に達成すべき品質に関して独自の要件を加えて語られることが多くあったと認識しています。それはレスポンシブWebデザインの進化の過程であり、本書の著者が説く「レスポンシブルな」レスポンシブWebデザインは、いわば進化の最新形と言えるでしょう。