2023年1月のWebプラットフォームの新機能
エグゼクティブ・フェロー 木達このページの一部は、Google が作成し、クリエイティブ・コモンズ 4.0 著作権表示情報に記載されている用語に従って使用されている、著作物を複製したものです。
以下の内容は、2023年1月31日に公開された記事「New to the web platform in January」の日本語訳です。翻訳の正確性は保証いたしかねますので、必要に応じ原文を参照ください。また、ブラウザサポートについては原文公開時点のbrowser-compat-dataに基づいており、必ずしも最新の状況を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。
2023年1月に安定版およびベータ版のWebブラウザに搭載された興味深い機能を複数ご紹介します。
安定版ブラウザのリリース
2023年1月にはFirefox 109、Chrome 109、そしてSafari 16.3が安定版となりました。これがWebプラットフォームにとって何を意味するか、見ていきましょう。
MathML
Chrome 109は、HTMLやSVGに埋め込むことのできる数学表記を記述するための言語、MathML Coreをサポートしました。このリリースは、MathMLがすべての主要なエンジンで相互運用できるようになったことを意味します。
scrollendイベント
Firefox 109はscrollend
を実装しました。このイベントは、スクロールの完了を検知するための信頼できる方法を提供します。Chromeにも実装されているこのイベントの詳細については、別の記事「Scrollend, a new JavaScript event」をご覧ください。
CSSにおけるlh単位とhyphenate-limit-chars
Chromeでは、CSSでlh
という長さの単位が利用できます。この単位は、使用されている要素のline-height
プロパティの計算値と等しくなります。
- 109サポート済み
- 109サポート済み
- 120サポート済み
- 16.4サポート済み
また、ハイフンで結ばれる単語の最小文字数を指定するhyphenate-limit-chars
プロパティも実装されました。
- 109サポート済み
- 109サポート済み
- ×未サポート
- ×未サポート
コンテンツセキュリティポリシー(CSP)のprefetch-src
Safari 16.3は、更新内容のほとんどが不備・不具合の修正というリリースであり、CSSにおけるサイズにまつわる多くの問題を解決しています。リリースノートに記載されている唯一の新機能は、コンテンツセキュリティポリシー(CSP)のprefetch-src
ディレクティブの追加です。
Android版Chromeの機能
Android版Chromeの新機能として、Secure Payment Confirmation(SPC)が追加されました。これはクレジットカード発行元や銀行、その他の決済サービスプロバイダに対し、プラットフォームの認証機能(通常は指紋読み取りなどのデバイスの画面ロック解除機能で有効化)を使って認証を行うために提案されているWeb標準です。
また、AndroidのFile System Access APIの一部であるOrigin Private File System(OPFS)も、Android版Chromeの新機能です。これには、File System Access APIのサーフェスのうち、show{OpenFile, SaveFile, Directory}Picker()
メソッドとDrag and Drop APIインテグレーションを除いたものが含まれます。
ベータ版ブラウザのリリース
ベータ版のブラウザは、次の安定版で実装されるもののプレビューを提供します。新機能や既存機能の削除など、あなたのサイトに影響を与える可能性のあるものを、リリース前にテストする絶好の機会です。1月の新たなベータ版は、Firefox 110とChrome 110です。
Chrome 110には、CSSのinitial-letter
プロパティが実装されています。このプロパティは、先頭の文字がテキストに埋め込まれる際の行数を設定する方法を提供します。詳しくは、Control your drop caps with CSS initial-letterをご覧ください。
また、Chrome 110では:picture-in-picture
擬似クラスが実装されました。これは、動画がピクチャーインピクチャーモードに切り替わる際の、メディアプレーヤーをカスタマイズする方法を提供するものです。
Chromeには、AudioContext
APIのsetSinkID()
メソッドがあります。このメソッドは、Web Audioを使用するときの、出力先デバイスを変更する方法を提供します。
Firefox 110はContainer Queriesのsizeを実装しました。この待望の実装により、3つの主要なブラウザエンジン間で相互運用性が実現します。