『賢い翻訳業者の選び方(The Savvy Client's Guide to Translation Agencies)』のペルシャ語訳が発売
(この記事は、2016年6月30日に公開された記事「The Savvy Client's Guide to Translation Agencies, now in Persian」の日本語訳です。)
間違い無く、イラン航空がボーイングとのあいだで交わした、88機のジェット旅客機を購入するという取引は、金額的には言えなくとも象徴的な意味において、極めて大きな取引と言えるでしょう。イランで同様の取引を得ようと、数多くの欧米企業が列をなしているからです。
そういった取引にリスクがないわけでは無く、少し前には同じようなことがロシアと中国についても言われていた時期がありました。もちろん、すべてが一瞬にして崩れ去るようなことは起こりえます(一度の選挙によっても)。
この10年の間にどんな大きな取引があったかを振り返る方が好きですし、そうであればこそ、『賢い翻訳業者の選び方(The Savvy Client's Guide to Translation Agencies)』がペルシャ語に翻訳され、イランで発売されたことをお知らせすることができ、私は嬉しく思います。
イラン人の翻訳家、Mary Poorglavi氏が翻訳を手掛けたのですが、彼女に最近、翻訳のプロセスやイランについて尋ねました。以下は彼女からの回答になります。
書籍の翻訳にはどれぐらいかかりましたか?
ご存知のように、翻訳と編集とは2つの異なる、しかし依存関係にあるプロセスです。私は最初に翻訳をし、次いで編集を行ったのですが、3か月を要しました。フリーランスの翻訳家として15年間働いてきた中で、出版に関わったのは今回が初めてであり、自然でありながら正確な書籍の翻訳に、最善を尽くしました。
何が最も困難でしたか?
書籍に複雑な構文は見られませんでした。ですから、意味の理解については何ら問題なかったのです。しかしこの書籍で最も難しかったのは、クラウドモデルに関する記述です!イランでは伝統的なTEF(翻訳、編集、校正)モデルが翻訳会社のあいだで使われており、馴染みがありませんでした。私の知る限り、イラン国内でシステムのローカリゼーションにクラウドモデルを使っている会社は存在しておらず、大抵はそれについて詳しくありません。その上、イランで働くフリーランスの翻訳家のほとんどは翻訳メモリーすら使っておらず、またその知見も持っていません。思うに書籍のその部分については、クラウドベースの翻訳システムがどんなものかや、その使い方を知らない層に向け、より詳細が追記されるべきです。
イランにおける翻訳業界は今、どんな感じでしょう?
イランは開発途上国ですから、概して産業の成長は緩やかです。残念ながら、イランの翻訳会社は技術に長けていません。ほぼ全てと言って良いほどの翻訳会社は、特殊な翻訳に特化しており、電子メールでローカリゼーションサービスを提供しているのは、ごく僅かです。幾らかの会社はプロジェクトの登録や価格設定、翻訳や納品に自動的なシステムを使っているものの、Webサイトに統合された用語集または翻訳メモリーを使っているわけではありませんし(クラウドベースの翻訳管理システムを使ってもいません)、フリーランサーの知識に頼ってばかりです。しかし最近になって、翻訳会社を組織化するための協会や団体が複数、設立されました。
イランの市場が欧米企業に対し開放されたことで、過去数年を振り返った時に翻訳業界の成長は認められますか?
制裁が解除された後、ごく少数ではありますが、グローバル企業向けにサービスを提供し、グローバル市場におけるシェア拡大を狙おうと、準備しつつある翻訳会社はあります。翻訳業界を紹介する書籍やイランにおける翻訳業界にフォーカスした学術論文を刊行すること、最新の技術を活用すること、翻訳業界とグローバル市場における存在感の重要性に関するカンファレンスを開催すること、関連ポリシーを改定することは、産業の成長を促進させるかもしれないと私は考えています。
イランを訪問しようという人に対しては、どこをお勧めしますか?
イランは数多くの魅力ある、四季を持つ国として知られています。テヘランでは、ゴレスターン宮殿とニヤーヴァラーン宮殿が、美しく魅力的な名所の中でもお勧めです。エスファハーンですとイマーム広場、シーラーズではエラム庭園とペルセポリスに訪れる価値があります。