中国人の海外旅行者数は1億2千万人に達するも、対応はまだこれから
(この記事は、2017年8月14日に公開された記事「China: 120 million international travelers and just getting started」の日本語訳です。)
2016年には1億2千万人以上の中国人が、海外旅行に出かけました。この人数は、概ね日本の人口(あるいはカナダ、イタリア、オーストラリアそれぞれの人口を足し合わせた人数)に匹敵します。
しかし、中国でパスポートを所有しているのは国民の10%に過ぎません。
中国に居住する25%の人々が、海外旅行に出かけるようになった時の旅行業界を、想像してみてください。彼らはどこに向かうでしょうか? 何を見に行きたいでしょうか? これらの問いに対する答えのヒントとして、昨年海外旅行に出かけた中国人3千人に対してHotels.comが行ったインタビュー結果があります。
『Chinese International Travel Monitor(中国海外旅行動向)』レポートの2017年版には、その結果から得られた知見がまとめられています。もし中国人旅行者について彼らがどこに向かい、その理由はなぜだったか、より良く理解したいと思うなら、同レポートは必読です。
私が興味を惹かれた項目をいくつか、以下に紹介します:
- 中国は既に多くの国において、来訪する海外旅行者が最も多い出発国となっています。
- 2016年時点で、中国の人口の10%しかパスポートを所有していません。
- 増え続ける旅行者にとって、ショッピングはもはや主たる魅力ではありません。
- 団体旅行も、特に中高齢層のあいだで、急速に廃れています。言い換えると、中国人旅行者たちはバスに飽きているのです。
- ミレニアル世代のあいだでは、個人旅行が大人気です。
- 中高齢層のあいだで特に、エコ/グリーンツアーの人気が出始めています。個人的に私はこれを嬉しく思います。
- インタビューの結果によると、中国人旅行者にとって最も人気のある国はタイ、日本、オーストラリアです。アメリカはトップ5にランクインしましたが、これは時事問題の影響から実態をあらわしていないのではないかと私は疑っています。
- アメリカで最も人気のある観光地はグランド・キャニオンです。
- オーストラリアで最も人気のある観光地はグレート・バリア・リーフです。
- フランスで最も人気のある観光地はルーヴル美術館です。
- アメリカを訪れた中国人旅行者は、他の国から来た旅行者より多くのお金(約7,200ドル)を費やします。
果たしてこれは、ホテル及びその他の旅行業界にとって何を意味するでしょう? 興味・関心を寄せ、素早く判断のうえWebサイト、コールセンター、ソーシャルメディアのいずれにおいても、北京語のわかるスタッフを備え、中国人をサポートしたほうが良いでしょう。調査結果では、ホテルのローカライゼーションの不十分さが課題のトップ5の一つに挙げられています。
2ヶ月前に私が調査した旅行関連のグローバルWebサイトでは、中国語のサポート状況は芳しくありませんでした。以下に示すように、新たに作成したレポート『Destination: Marketing(目的地はマーケティング)』によると、調査対象のうちたった64%しか中国語をサポートしていません。
また、VISAあるいはマスターカードのへの対応も十分ではありません。多くの中国人旅行者が好む支払い方法は、UnionPayです。
『Chinese International Travel Monitor』はこちらでダウンロードできます。
そしてもし旅行/観光業界で、最も優れたグローバルWebサイトがどこか知りたければ、『Destination: Marketing』をチェックしてください。
最後に、あなたが担当しているWebサイトを中国向けにローカライズすることのヒントが必要であれば、著書『Think Outside the Country(他国について考える)』をチェックしてください。