Webサイトにおける肥満の危機
(この記事は、2017年12月4日に公開された記事「The Internet's obesity crisis」の日本語訳です。)
Webサイトの重さ(訳注:ここで言う重さとは、Webページを表示させるのにダウンロードが必要なファイルの総容量を指します)と、それが表示パフォーマンスにもたらす影響について私がレポートを出版したのは、2001年のことです。
2001年などという大昔に、なぜ私がWebサイトの重さを調査していたのか、疑問に思うかもしれません。
ブロードバンドによってもたらされた格差
当時、アメリカや他の多くの国において、家庭や職場はインターネットへの接続をダイアルアップからブロードバンドへとアップグレードする最中にありました。企業はこのアップグレードを先導していたことから、多くのWebチームは画像やFlashの名で知られる新技術にかなり依存した、ファンシーで新しいWebサイトをデザインしました。しかし、当時のアメリカ国内の家庭におけるブロードバンドの普及率はたった5%でしたから、それらのWebページを表示するのに30秒やもっと長い時間、人々は待たされることになりました。
例えば2001年当時、ウォルマートのトップページは238キロバイトあり、ダイアルアップ接続のユーザーは表示に30秒待たなければなりません。
その頃、とあるスタートアップがトップページをロゴと数単語からなる文だけにしてしまうほど表示スピードを重視し、その結果トップページの重さは13キロバイトになりました。3秒以内に表示できる重さです。
そのスタートアップとは、Googleのことです。
Googleのトップページは、Yahoo!のトップページの半分に満たない軽量さで、ユーザーはそれに気づいていました。検索の品質だけではなく、インターフェースの反応の良さによって、Googleはユーザーを獲得したのです。
時は2017年に戻ります。
ここに、Googleのトップページの重さを2001年(青)と2016年(緑)で比較したグラフがあります。Googleは目下、(平均で)550キロバイトにまで増えています。しかしIBMやMicrosoft、Amazonのように、Googleの何倍も重たいサイトは容易にみつけることができます。
モバイルブロードバンドで起こる格差
これがWebサイトのパフォーマンスについて意味することは何でしょうか?
インターネットに高速で接続していない限り、Webサイトは素早く表示されるか利用を諦めてしまうかのいずれかに振り分けられる、ということです。
誰もが高速で接続しているとは限りません。
あなたがスマートフォンで、3Gネットワークに接続しているとしましょう。それはまさに、中国の大部分や、インドネシアやトルコといった新興国において一般的な状況です。3MB以上の重さがあるWebページは、表示に6〜10秒を要します。もし3秒以内に表示させたいと思うなら、1MB未満に容量を収めたほうが賢明です。
Webグローバリゼーション・レポートカードのために行った私の調査によると、モバイル向けWebサイトは着実に重くなっています。過去2年間のうちに、ほぼ倍の重さになっているのです。
モバイル向けWebサイトの重さは今や、Webグローバリゼーション・レポートカードにおける数ある評価項目のひとつとなっています。
世界各地のインターネット接続速度について理解を深めたいなら、Speedtest Global Indexをチェックしてください。
Speedtest Global Indexは、月ごとに世界中からインターネットのスピードデータを比較しています。データは、Speedtestを毎月利用している実際の人々が行う数億回に及ぶテストを通じて集められます。リストに加わるには、当月中に固定ブロードバンド向けには3,333以上の、モバイル向けには670以上のユニークユーザーテストの結果が得られる必要があります。結果は毎月月初に、前月のものにアップデートされます。
以下に示すのは、10月に取得したSpeedtest Global Indexのサイトのスクリーンショットです:
ノルウェーが約60Mbpsでトップを飾る一方、ブラジルはおよそ15Mbpsです。そしてそのブラジルより下位には、ランク付けされた国の半数近くが並んでいるのです。
ここで得られる教訓は何でしょうか?
あなたの顧客が、あなたのWebサイトなりモバイルアプリを素早く表示できないのなら、世界各地で行われるあらゆるユーザビリティテストは無駄だということです。
モバイル向けWebサイトのページ容量は1MB未満にしましょう。そうすれば、競争で優位に立てますし、顧客により良いサービスを提供することができます。500キロバイト未満にすればGoogleのトップページに匹敵するわけで、悪いことではありません。