グローバルゲートウェイ戦略を改善すべく、Appleがジオロケーションを採用
(この記事は、2018年2月28日に公開された記事「Apple adds geolocation to improve its global gateway strategy」の日本語訳です。)
Appleは過去10年間のあいだに何度もWebサイトをリデザインしてきましたが、ほとんど変わっていないものが1つありました — グローバルゲートウェイ戦略です。
以下のスクリーンショットは、2010年当時のグローバルゲートウェイです:
そして現在のグローバルゲートウェイは以下のようになっています:
しかしこの数日のうちにAppleは、私が過去に何度か待ち望んでいたことを実行に移しました。ジオロケーションの採用です。
それがどのように機能するものか、ご紹介しましょう。
もしあなたがアメリカ国内から、例えばフランス向けのAppleのサイト(ドメインはwww.apple.fr)にアクセスしたとすると、ページ先頭にあるメニューの上に次のようなメッセージを目にすることになります:
そのメッセージによって、アメリカ向けのWebサイト(.comドメイン)にアクセスするための近道が提供されます。
別の例として、あなたが日本からwww.apple.comにアクセスすれば、次のようなメッセージを目にします:
この例では、ユーザーは日本向けのWebサイトにワンクリックで遷移することができます。
Appleにとってこれは前進であり、私はそれを目の当たりにして嬉しく思います。
しかし、改善の余地はまだあります。
まずは国旗についてです。
Appleがなぜこれほどまで国旗に固執しているのか、私にはわかりません。いずれ国旗の掲載を止めるであろうことを私は固く信じていますし、ジオロケーションの採用はより大幅な改善の前触れであることを期待しています。ジオロケーションが採用された現状において、国旗はまったく必要ありません。加えて「ほかの国または地域を選ぶ」を選択すると、国旗の並んだグローバルゲートウェイのページに移動させられます。一般的なルールとして、国旗をナビゲーションに用いるべきではありません。
次に、「お住いの場所に合ったコンテンツを表示させ、オンラインで購入できるようにするには、国を選んでください」というメッセージについてです。
「国を」の間に「または地域」という記載の無いことがまず問題です(訳注:翻訳時点において確認したところ、Appleの掲載している日本語のメッセージには「国を選んでください」ではなく「国または地域を選んでください」とあります)。くどくどと同じことを言うつもりはないのですが、アメリカの多国籍企業と中国とのあいだで最近起こったような地政学にまつわる問題をAppleが回避するのを手助けしたい、というのが私の意図です。「または地域」を追記することすら、必要ではないかもしれません。訪問者が国/地域ごとのWebサイトにアクセスしたいかどうか、尋ねてはどうでしょう?
最後に、プルダウンメニューと「続ける」ボタンの組み合わせが若干、ややこしい点です。プルダウンメニューにはたった2つしか選択肢がありませんから、訪問者のクリックを節約できる、もっと良いUIが作れるはずです。
上記の課題はさておき、Appleがジオロケーションと共に前進しているのは喜ばしいことです。ジオロケーションの採用は、決して容易な判断ではなかっただろうと思います。この手の実装によって、Appleがどうやって居場所を知ったのかとの疑念を一部の訪問者にもたらしかねず、結局のところAppleはプライバシーにとても敏感な企業だということです。しかしこれは、プライバシーの侵害にはあたりません。より良い経験を提供するための一歩です。
私はまた、今回の改修がWebサイト戦略上のもっと大きな変化、具体的にはより分権的なモデル(このモデルについては機会を改めて書く予定です)への移行の兆候であると信じています。
追伸:グローバルゲートウェイのベストプラクティスについて、詳しくは2018年版Webグローバリゼーション・レポートカードや書籍『The Art of the Global Gateway』をご覧ください。