「忘れろ、ジェイク、ここは中国だ」
(この記事は、2019年1月9日に公開された記事「Forget it, Jake. It's China.」の日本語訳です。記事タイトルは、1974年公開の映画『Chinatown(邦題:チャイナタウン)』の台詞、「Forget it, Jake, it's Chinatown.」をもじったものです。)
タイムリーな記事が、ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載されました(単に私が最近になって読んだだけなのですが)。「未来はここにはない」アメリカのビジネスパーソンは、かつて中国をダイナミックでエキサイティングな、広く開かれた場所と考えていました。しかし今は違います、とヘッドラインにあります。
私が疑問に思うのは、かつて中国が「広く開かれた」時期なんてあっただろうか、という点です。
記事から引用します:
長年にわたり、アメリカの起業家たちは、エキサイティングで新しい、ダイナミックな経済において潜在的に巨額の富を生み出すべく、ハイテク事業を興したりレストランチェーンを築いたり、工場を経営する場として中国を捉えていました。多くの人々が中国語を習得し、何千人も中国で雇っては訓練をし、家を買い、伴侶を得て、バイリンガルの子供を育てたものでした。
今やそれらはコストの高騰、税率の上昇、そして市場を操作し国内の競合を排除することを難しくさせる政治的統制の厳格化と気まぐれな規制によって、幻と化しつつあります。そうした要因すべてがビジネスオーナーを国外へと追いやり、彼らの輝かしい日々を過去のものとしているのです。
最近の貿易と関税に関する問題は、脇に置いておきましょう。中国は無慈悲なほど競争の激しい市場であり、他の多くの国々と同様、自国の企業が有利になるよう仕向けています。加えて知的財産は(控えめに言っても)十分には保護されていません。数年前、Windows OSの大規模な海賊行為について苦情を申し立てようと、Bill Gates氏が中国に出向いた時のことを私は覚えています(当時Windowsは中国において高いシェアを誇っていたにも関わらず、Microsoftは十分な収益をあげていませんでした)。
CiscoやAmazon、WalMartを含む他の企業も、中国では苦戦を強いられてきました。そしてまた、GoogleとFacebookはいまだ魂を売ることなく、自らのやり方を必死で押し通そうとしている(実際そうしているに等しい)という事実を、見落としてはなりません。
10年以上に及ぶあいだ、私がグローバルに進出したての企業に言ってきたことがひとつあります。海外進出の足がかりとして中国を考えているなら、おそらく考え直したほうが良いということです。どの国や文化に狙いを定めようと、グローバル進出は難しいものです。しかし最も厳しく、かつ気まぐれに規制されたイントラネット(実際、中国におけるインターネットとはイントラネットです)へ進出するとなると、登ることの困難な急坂に直面することとなります。中国に進出すべきでないとまでは言いませんが、進出するならしっかり状況をわきまえて、長期的な計画をもって臨むべきでしょう。
率直に言って、それはどの市場にも当てはまることです。新しい市場はどれも開拓地であり、そこには新しいルール、新しい文化、新しい競合企業があります。グローバル進出においては、活気づけられることも恐ろしい思いをすることもあります。しかし間違いなく、退屈なことではないでしょう!
ついでにお話しすると、私は今、Webグローバリゼーション・レポートカードの2019年版の作成に取り組んでいます。興味深い数多くの発見について、向こう数週間から数カ月にわたってご紹介するつもりです。