メールアドレスが重要ではない中国
(この記事は、2020年7月28日に公開された記事「In China, email addresses are irrelevant」の日本語訳です。)
中国における電子メールとモバイルアプリの競争、そして電子メールが人気アプリに負けつつある理由について、BBCが素晴らしい記事を掲載していました。
世界的に見れば、初めてインターネットを利用するのにデスクトップPCではなくモバイルデバイスを使用した人のほうがはるかに多いことを認識するのは、私のような西洋人にとって重要です。ほとんどの新興市場において、モバイルアプリを使うことにより、人々はデスクトップPCの使用をスキップしてしまったのです。
2004年から中国でデジタルイノベーション領域のコンサルタントを務めてきたイギリス人、Matthew Brennan氏は、多くのオンラインサービスを利用するうえで必要となるため、イギリスにおいてメールアドレスを所有することは、個人のアイデンティティの一部と言います。しかし中国ではモバイルアプリが優先されることが多く、WeChatや(オンライン小売大手のAlibabaの創業した)Alipayなど、複数の機能を備えたアプリにログインすることにより、予約から買い物の支払い、友人に向けたメッセージ送信まで、すべて単一のアプリで実行できます。
もし誰かが私に、すべての電子メールの送受信を行うデバイスをiPhoneに制限したなら、すぐと他のコミュニケーション手段を探すことでしょう。
インターネットが黎明期からラテン言語に偏っていたことも、特筆に値します。インターネットを創造した人々は、世界中で使用されている多くの異なる言語を考慮しなかったのです。それは、電子メールアドレスに使える文字が、歴史的にラテン言語ベースのものに限定されていた理由でもあります(今日では実現可能な回避策がありますが、あまり人気がありません)。
そしてここに、中国のような新しい市場に進出しようとしている人々のための最も重要な教訓があります。顧客が電子メールやFacebook(中国ではブロックされている)、Twitter(同じく中国からはアクセスできない)を介してログインすることを期待する場合は特に、単にWebサイトをローカライズすれば良いわけではないということです。
ユーザーがどのアプリケーションを使用しているかだけでなく、それをどのように使用しているのか、またその理由を理解する必要があります。