国旗の掲載をやめたAppleと始めたAmazon
(この記事は、2020年12月16日に公開された記事「As Apple leaves flags behind, Amazon begins waving them」の日本語訳です。)
Appleが、(グローバルゲートウェイとして知られる)ナビゲーションのアイコンとして国旗の使用を諦めたのを私が指摘したのは、9月のことです。
これは前向きな一歩でした。私が国旗を嫌いだからではなく、ことグローバルナビゲーションに関して、国旗は問題を解決するより問題を引き起こすことが多いからです(企業が国旗をサイトから除くべき理由については、Flag Freeを参照ください)。
Appleがグローバルナビゲーションについて前進しているのに対し、Amazonは逆に後退しているように見えます。
アメリカ向けのAmazonのWebサイトにアクセスすると、ヘッダーにはアメリカ国旗が表示されます。
そしてドイツ向けのWebサイトは、以下に示すとおりです:
これまでAmazonは常に国旗を掲載していたわけではありません。かつては一般的な地球のアイコン(以下の画面キャプチャを参照)を使用していました。このアイコンは、グローバルゲートウェイのありかを示すのに私が長く推奨してきたものです。
なぜAmazonが後退する動きを示したか、私にはわかりません。おそらく、国旗の掲載が収益を向上させることを示すデータが得られたのでしょう。ヘッダーに国旗を掲載することが理にかなう理由としてほかに思い当たるのは、ナビゲーション目的にはふさわしくないとしても、アクセスした先が意図したサイトかユーザーが確認する目的では効果的かもしれないということです。つまり、ユーザーに安心感を視覚的に与えることができるのです。そして安心感は、成功のために信頼が不可欠なeコマースにとって、大きな役割を果たします。
とはいえ、私にはAmazonが正しい道を歩んでいるとは思えません。国旗は、ユーザーが言語を選択できるようにする目的で使用されることが多く、その掲載自体、ユーザビリティや地政学の問題を引き起こす可能性があります。はい、またしても「地政学」という言葉を出しました。国旗の見た目は地政学的にセンシティブであるため、「地政学」は組織が国旗を用いる際によく登場する言葉です。
効果が疑わしい場合には、国旗は取り除きましょう。
本件ついては、2021年版のWebグローバリゼーション・レポートカードでより多くを語ろうと思っています。