Disney+のサポート言語と、企業が「英語は世界で通用すると仮定」し続ける理由
(この記事は、2021年2月9日に公開された記事「Disney+ (or -) a few languages: Why companies continue to "assume the world speaks English"」の日本語訳です。)
New York Timesは、アイスランドがDisneyに対しアイスランド語のサポートを求めた、と報じています。同国の教育大臣のFacebookへの投稿は、国民的な運動へと発展しました。
しかし記事によれば、Disneyに欠けているのはアイスランド語のサポートだけではない、とのことです:
Webサイトによると、Disney+のサービスでは、タイトルによって利用可能な言語は異なるものの、最大16言語の字幕や吹き替えを提供しています。同社はまた、より多くの国でサービスが利用可能となるにつれ、より多くの言語を追加する予定としています。
たったの16言語。グローバル企業にもかかわらず、Disneyは言語サポートで他社に後れをとっています。2020年版Webグローバリゼーション・レポートカードによると、大手のグローバルブランドは平均で33言語をサポートしています。そして私は、この数値が2021年版(現在制作中)で減ることはないと確信しています。
Netflixもまた同様であることが、明らかにされています:
アイスランド語の未サポートは、他のストリーミングサービスにとってユーザーが契約を取りやめる動機ではありませんでした。2020年にGallupが行った調査によると、アイスランドでは全世帯の約70%がNetflixに加入しており、その普及率は世界で最も高い部類ですが、番組のほとんどがアイスランド語の字幕を提供していません。
これはまさに、Disneyに通ずる話です。子供たちはDisneyの映画を見て育ちますが、これはアイスランド語で育てられていないことを意味します。どうやら、Disneyは古いバージョンの映画で吹き替え版を制作してきたものの、ストリーミングサービスでは利用可能にしていなかったらしく、これは重大な手落ちです。
長きにわたるキャリアを通じ何十もの児童書をアイスランド語に翻訳してきたThorarinn Eldjarn氏は、「なぜ古いバージョンすら提供しないのか、不思議に思います」とインタビューで語りました。「アイスランドがあまりにちっぽけな、気にかけるほど重要な国ではないと考えているのか、さもなくば誰もが英語を理解できると思い込んでいるか、どちらかです。」
「誰もが英語を理解できると思い込んでいる」これは、今なお多くのグローバル企業の経営者からよく聞かれる思い込み(あるいは希望的観測)です。世界中に向けマーケティングを行い、そしてサービスを提供するのは、簡単なことではありません。全員が同じ言葉を話すことができれば、物事はずっとシンプルになる。そう考えるかもしれません。
言語はローカリゼーションにとって氷山の一角に過ぎませんから、そうシンプルにはなりません。文化的、政治的、また個人的にも多くの課題が生じます。にもかかわらず、経営者は誤った思い込みのもと、言語への投資を過小評価し続けています。
本件については、2021年版Webグローバリゼーション・レポートカードでより詳しくお伝えしたいと思います。今はただ、Disneyにはやるべきことがたくさんある、とだけ申し上げておきましょう。コンテンツだけでなく、グローバルWebサイトについても、言語的なリーチを広げる必要があります。そもそもDisneyは、アイスランド向けにローカライズしたサイトすら提供していません。(政治的に)一番近いのは、デンマーク向けサイトです:
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