グローバル展開の初期にWebサイトをどう編成すべきか
(この記事は、2022年2月20日に公開された記事「How to organize a global website when you're just beginning to go global」の日本語訳です。)
この記事は、最近になってスモールビジネスを始めた方からメールで寄せられた、新たにローカライズしたWebサイトをどう管理すれば良いかというお悩みに端を発します。具体的には:
ターゲットとする国の名前を含めてURLを構成すべきでしょうか(例:.com/Japan)。それとも、ターゲットとする地域の言語名(例:.com/japanese)が良いでしょうか?また、ラテンアメリカの場合、スペイン語のフォルダ(.com/espanol)を設けるべきでしょうか、それとも当該地域でスペイン語が使用されているすべての国の名前(.com/mexico、.com/venezuela、.com/peruなど)にすべきでしょうか。
これは素晴らしい質問です。第一に、この方はグローバル展開における最初期にこの質問をしているからです。グローバルな一貫性やSEO、顧客サポートなどにまつわる中長期的な課題を考えずに、ローカライズしたサイトを次々と立ち上げようとする企業は、実に多くあります。
上記の問いを投げかけることで、適切なタイミングで適切なグローバル戦略を策定すべく、正しい道を歩むことができます。
では、どの戦略がベストでしょうか。言語に基づいた編成か、あるいは国や地域に基づく編成をすべきでしょうか?
答えは、ケースバイケースです。
それぞれの国や地域で何を目標とするかなど、多くの要因によります。
例えば、特定の国で製品を販売する予定がありますか?もしそうなら間違いなく、国/言語別アプローチ、私がロケール中心アーキテクチャと呼ぶ戦略を採用したいでしょう。その戦略に基づくなら、国や地域に焦点を当て、言語はそのサブセットとします。
ここで製品ではなく、サービスを販売しているとしましょう。あなたはWeb開発者で、サービスのグローバルリーチを拡大したいと考え、ローカライズしたサイトへの投資を最小限に抑えつつリーチを最大化したいとします。そうであれば、言語中心なモデルのほうがフィットするかもしれません。なぜなら言語は国境を超越するものであり、あなたは言語ごとにどこまでリーチを広げられるかに興味があるからです。
とはいえ、ほとんどの企業にとって、ロケール中心のモデルが長期的に最適なアプローチであると私は考えます。言語中心のモデルは、しばしば障害に直面するのです。例えば、スペイン語のWebサイトを公開する予定があるとします。では、どのような「フレーバーで」スペイン語をサポートしますか?これは英語やフランス語、ポルトガル語、その他の国や地域によって(時には大きく)変化する言語についても同様です。URLに言語の名前を含める場合、言語コードは使用しないようお勧めしますが、少なくとも現地の表現(「German」ではなく「Deutsch」)を用いることを確認してください。常にユーザーの言語を重視しましょう。
ロケールベースのアプローチは、検索エンジンとより良く連携します。Googleは、コロンビア向けとメキシコ向けのサイトを両方インデックスする際、どちらでも同じ言語が使われていますが、ユーザーの現在地に基づいて検索結果を調整することができ、より地域に関連した情報を提供しています。
最初の質問に戻って、国別コード(訳注:国別コートップレベルドメインのこと)のサポートについても触れます。国別コードが企業にとってあまりに割高なアプローチであった場合、少なくともローカライズしたサイトを管理するためのより標準的なアプローチを計画する必要があります。例えば、.com/Canadaの代わりに、カナダ/英語のための.com/en-ca、あるいはカナダ/フランス語のための.com/en-frが必要でしょう。Microsoftが採用しているように:
Appleは、以下に示すように若干異なっていますが、モデルは一貫しており、世界標準の国別・言語別コードに依存しています。
.com/Japanのようなディレクトリ名は、英語中心な市場の見方を示しており、絶対に避けたいものです。理想を言えば、国際化ドメイン名のサポートをもっと充実させたいところですが、中小企業にとってそれが過大な要求であることは承知しています。というわけで、Japanの代わりにja-jpを使いましょう。
さて、アメリカ市場向けのスペイン語の扱いはどうなっているでしょう?
Fordの例:
そしてAirbnb:
AT&Tのほうが、グローバルスタンダードにより合致していると言えるでしょう:
大切なのは、URLに「espanol」を含めないこと。そうしてしまうと、チルダ文字(ñ)が損なわれる点は、かなり重要です。
グローバル展開を始めたばかりであれば特に、このような細かな事柄に少し圧倒されてしまうかもしれません。しかし、最初に詳細を正しく理解することで、グローバル展開を実際より効率的に、そして願わくば成功裏に行うことができます。
また、あらゆる中小企業にお勤めの方に、私の著書『Think Outside the Country』をお勧めします(訳注:日本語訳は『グローバルWebサイト&アプリのススメ グローバルジェネラリストなWeb担当者を目指して』)。この本には、グローバル展開を進めるうえでの詳細なチェックリストを掲載しています。