もはやロシア語はグローバルブランドにとってトップ10言語ではない
(この記事は、2024年3月11日に公開された記事「For global brands, Russian is no longer a "top 10" language」の日本語訳です。)
ロシア語はかつて「トップ10」言語の1つとみなされ、グローバルな成長を真剣に考えている企業であれば、必ずサポートする言語と考えられていました。しかし、プーチン大統領の恐ろしい行動が、それに終止符を打ちました。
過去2年間、グローバルブランドはロシアから相次いで撤退、その一環でWebサイトを閉鎖しました。ロシア語のサポートを打ち切ったWebサイトから、ほんの数例を挙げるならHertz、Intel、Oracle、Starbucksなどがあります。
私は2年前、ロシア向けにローカライズされたWebサイトを擁するグローバルサイトが大幅に減少していることに、初めて気づきました。その減少は今年も続いていますが、ペースは鈍化しています。
一方、小規模ながら注目に値するグループ企業がウクライナ語をサポートし始めた結果、次のグラフに示すような傾向が生じました(2024年版Webグローバリゼーション・レポートカードより引用)。
ロシアの行動は多くの多国籍企業に衝撃を与えました。「どんな犠牲を払ってでも世界に進出する」という考え方は、「自国の近くに留まろう」という考え方に取って代わられています。
それこそ、主要なグローバルブランドがサポートする言語数の平均値が2022年に史上初めて減少した理由の1つです。
しかし今年、その平均値が34言語に達したことを、私は嬉しく思いました。企業は、世界に投資する価値のある機会がまだあると認識しているということです。実際、そこには多くの機会があります。
言語は目的を達成するための手段です。私のように、言語にまつわる状況を追いかけていると、一種の先導役として言語が機能していることがわかります。確かに、世界は現在、大きな課題に直面しています。グローバル化はリスクを伴う取り組みであり、それは今後も変わらないでしょう。しかし、一部の企業にとっては、グローバル化しないこともまた同様にリスクになる可能性があります。
ロシア語サポートの衰退の副作用の1つはポーランド、ベトナム、ルーマニアなどの他の市場への投資の増加です。言い換えれば、ロシアの損失は他国の利益となります。
来年に向けての私の唯一の願いは、少しでも平和が訪れることです。