Google アナリティクスにアプリ+ウェブプロパティの登場
アナリスト 深堀注:本記事でご紹介する「アプリ+ウェブプロパティ」はベータ版のため、今後仕様変更が頻繁に生じる可能性があります。
そのため本Blogでの説明と実際の仕様において異なる箇所が生じる可能性があることをご了承ください。
今年の夏、Google アナリティクスの新しいプロパティであるアプリ+ウェブプロパティのベータ版がリリースされました。
本Blogでは、アプリ+ウェブプロパティと既存Google アナリティクスとの違い、および基本機能についてお話しいたします。
現行Google アナリティクスの課題
まず、現在のGoogle アナリティクスでは、セッション(一回ごとのサイト閲覧)を基軸としてデータの集計・分析が行われています。一方で近年急速に普及しているSFAやMAツールはユーザーを軸として集計・分析が行われており、さらに、オムニチャネル化への対応からオンライン・オフラインを含めたデータ連携によるユーザー単位の分析の必要性が増してきています。
そのような環境下において、Google アナリティクスのセッションベースでのデータは、ユーザーをベースとした他データとの連携に大きな障害となっており、サイト内における複数セッションをまたいだユーザー行動の把握も難しくしています。(そこでGoogle アナリティクスではユーザー指標が新たに導入されましたが、数値の見方に混乱をもたらしたのは記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。)
このように、セッションをベースとした分析は時代にそぐわなくなってきておりましたが、ユーザーベースに転換するためにGoogleが打ち出したのがFireBaseを利用したサイトアクセスログの解析、すなわちアプリ+ウェブプロパティのリリースと思われます。
アプリ+ウェブプロパティの基本仕様
それでは、ここからアプリ+ウェブプロパティの基本機能について簡単にお話しますと、現行のGoogle アナリティクスとの違いとして大きく以下の特徴があります。
アプリとのクロスデバイス測定
アプリ計測用のFireBaseを利用しているため、アプリとウェブサイト間で共通のディメンション・指標を使用していることから、アプリとウェブサイトを一元的に分析できます。例えば、アプリでの購買行動とウェブサイトでの購買行動をまとめて分析できるようになります。
イベント単位の計測
アプリ+ウェブプロパティでは、サイト上のユーザー行動一つ一つをイベントとして取得します。例えば、ページAを閲覧して、ページ下部までスクロールした後、ページBに移り、リンク先より外部サイトに遷移した場合、ページA閲覧イベント、ページ下部までのスクロールイベント、ページB閲覧イベント、外部リンククリックイベントが発生し、イベントごとに付属情報(プロパティ)として、イベント発生時間、デバイス、ユーザー識別子、発生位置情報などがイベントとともに記録されます。
自動取得イベント
イベント単位でユーザー行動をトラッキングするため、サイト内での細かな行動をどれだけ取得するかが大切なため、アプリ+ウェブプロパティでは、主に以下のイベントが標準で取得できるようになっています。(これらは、現行のGoogle アナリティクスではカスタムイベントの設定が必要になっているものです。)
- スクロール数:ページの90%以上スクロールしたイベント数
- 離脱クリック数:他サイトへのリンククリック数
- 動画エンゲージメント:ページ内の動画閲覧開始、閲覧終了などビデオ閲覧関連イベントのクリック数
- ファイルのダウンロード数:一般的なファイル拡張子のファイルリンクのクリック数
- サイト内検索:サイト内検索イベント数と検索語
(他にも、sessin_start、First_visitイベントなどがあります。)
上記イベントは、カスタムイベント設定をすることなく、管理画面で「測定機能の強化」を有効化するだけで測定できます。
アナリティクス360の固有機能の標準装備
有料版のアナリティクス360でのみ提供されている"分析"機能(データ探索、目標到達プロセスの分析、セグメントの重複)が標準装備されています。これにより、複数セグメントの同時分析や、様々なセグメントの重複状況などをアドホックに分析できます。
経路分析
現行のGoogle アナリティクスでは、閲覧ページとページ内での発生イベントをフロー系レポートで同時に確認することができませんが、アプリ+ウェブプロパティでは、ページの閲覧とページ内行動を同じイベント単位で計測しているため、ページごとの閲覧とイベントの発生状況をフロー図で分析できます。
BigQueryとの連携
有料版のアナリティクス360でしか行えなかったローデータのBigQueryでの分析が可能になっています。これにより、有料版にしなくてもローデータをBigQuery上で扱えるため、SFAや、MAツールなど他データとのデータブレンディングが可能になりました。(※今のところBigQueryの利用料以外は無料ですが、ベータ版のため本リリースでも無料かどうかは残念ながら不明です。)
以上、簡潔にアプリ+ウェブプロパティの特徴についてご説明いたしましたが、オムニチャネル化が進む中で、Google アナリティクスデータもユーザー単位で集計し、SFAやMAツール、ソーシャルメディア、オフラインデータ等とのブレンディングによる分析が当たり前の時代を迎えると考えられます。そのような時代背景を踏まえると、アプリ+ウェブプロパティはGoogle アナリティクスの標準仕様になる可能性があるのではないでしょうか?
当社ではアプリ計測を含む、アナリティクス導入支援を行っております
- ベータ版から使い方に慣れておきたい
- 将来の複数データの連携を踏まえてBigQueryにデータを保存しておきたい
- アプリと連携して分析してみたい
上記のようなご要望がありましたら、まずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。
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