日本広報学会による「広報」の最新定義
エグゼクティブ・フェロー 木達去る6月20日、日本広報学会が「広報」の定義を発表しました。これは、同学会がおよそ2年間をかけて、過去の議論や研究者および実務者を対象として行った調査を踏まえ、まとめたものです。
組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。
この定義の解説は、「広報」の最新定義を年次総会で発表 | お知らせ | 日本広報学会において、概要と本文それぞれ個別のPDFファイルで提供されています。それはそれとして、これまで広報・PRの考え方というセミナーで広報の何たるかを語ってきた立場から、以下に私の感想を記したいと思います。
まず、全体的にコンパクトながら、現代の広報を語るうえで必要な要素、キーワードが網羅された、とても素晴らしい定義というのが率直な感想です。私のセミナーでは、広報と経営とは不可分であり表裏一体との説明をしてきましたから、結びにおいて広報がすなわち経営機能(の1つ)としている点は、特にわかりやすく感じました。
広報の目的として挙げられている「目的達成」「課題解決」については、私には「攻め」と「守り」、プロアクティブな目的とリアクティブな目的の双方を含めた結果のように読めます。同時に時間軸については、あえてそれに触れない(限定しない)ことで、長期的な広報と短期的な広報のいずれをも含めているように感じられました。
そして「多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーション」......このくだりには、誰もが情報の受信者にも発信者にもなり得るという、インターネットやWeb、SNSが広く社会に浸透した今だからこそ、納得感を強く覚えます。語感的に、広報が一方通行な活動のように捉えられることがある、という紹介を私のセミナーでしていますが、新定義の浸透と並行してそうした誤解は今後減っていくかもしれません。