Corporate Communications Conference Europe 参加セッションレポート1
海外担当マネージャー / コンサルタント ヒラノ・ブラウン2024年6月25日にアムステルダムで開催された「Corporate Communications Conference Europe(Global Insight Conferences Ltd. 主催)」に参加してきました。コーポレートコミュニケーションの専門家による、コーポレートコミュニケーションや広報を担当するかたのためのカンファレンスです。
本Blogでは、私が参加したセッションについて、3回の記事にわけてご紹介します。
GIC Opening Remarks & Morning Chair's Opening Remarks(開会のご挨拶)
イベントの冒頭では、デンマークの製薬大手Novo Nordiskの国際事業部コミュニケーションおよび広報担当副社長であるCan Okar氏が、コーポレートコミュニケーションに関する2つの視点について講演しました。ひとつ目の視点は、C-suite※1 の指示を受けたチームが「あらゆる戦略やニュースなどを説明する」役割を果たすサポート機能としてのコミュニケーションについて、重要ではありますが対応が限定的で、やや時代遅れであるというものです。Okar氏はむしろ、現代のコミュニケーション・チームはコーポレートブランドの管理者であり、組織の長期的な持続可能性を確保するために働いていると考えています。さらに、チームは、会社の目的、価値観、会社が掲げるもの、会社が目指す方向性を積極的に共有し、宣伝する者として機能すべきだと指摘し、ふたつ目の視点としました。
上記を踏まえると、日本企業のコミュニケーション・チームは進んでいるように感じます。Webサイトを活用して組織をよりよく宣伝し、その他のオンライン・メディアを通じて企業活動の多くのポジティブな側面をアピールしています。
※1:CEO、CFO、COOなど、Cから始まる会社の経営を担う役職一式
Crisis Comms Strategies - Panel & Q&A(クライシスコミュニケーション戦略/パネル・ディスカッション&質疑応答)
デンマーク赤十字社のコミュニケーション・広報部長であるKlaus Nørskov氏、Too Good To Go社のコミュニケーション・グローバルVPであるFelipe Contreras氏、Air France-KLMのリレーション部長であるMathieu Guillot氏、TUI Nederland N.V.対外広報部長のPetra Kok氏が参加したパネル・ディスカッション「Take Control Back In A World Of Permacrisis: Quickly Get Ahead Of Crisis Issues To Cut Problems Off Early With Flexible, Effective Crisis Comms Strategies(パーマクライシス※2 の世界で主導権を取り戻す:柔軟で効果的なクライシスコミュニケーション戦略で、クライシス問題に迅速に対応、早期に解決)」では、VUCA時代におけるコミュニケーションについて、たくさんの普遍的で反響の大きなテーマが取り上げられました。最もよく言及されたのは、信頼性と透明性が重要であることです。何年もかけて築き上げた評判がほんの数分で損なわれる可能性があるSNS時代においては、できるだけ正直でオープンであることがますます重要になっています。これに決められたルールはありません。コミュニケーションとは、企業やブランドとしての自分たち、自社の数字、オーディエンスや彼らのニーズを知ることであり、また、いつどこでプレスリリースやSNSなどを通じてコンテンツを発表するのがベストなのかを判断できるように、メディアに精通していることだ、と話されていました。
※2:「長期にわたる不安定な状況」を意味する言葉。永続的な危機、恒久的な危機、とも