フィードバック時の心得
品質管理スタッフ 小稗社内の検品作業を行う上で欠かせないのが、実装上の誤りが見つかった際にその誤りをフィードバックする工程です。ここでは成果物の品質担保という目的があって不具合を指摘しているわけですが、やはり誤りを指摘される、という場面はあまり気持ちのよいものではないでしょう。フィードバック時に実装者への一定の配慮は、業務進行の上で大事なポイントと心得て業務に臨んでいます。
業種は異なりますが、以前、『日産自動車における未然防止手法 Quick DR』という品質管理の取り組みを記した書籍から、フィードバックを行う際のポイントを参考にした経緯があります。コーチングの方法論を取り入れ、不具合の再発防止、未然防止のためのメソッドとしてまとめられていました。
そのメソッドから、Webページの出来映えのチェックにあたり参考になった内容を取り上げてみます。
- ティーチングでなくコーチング
- 当社の検品は、前工程で準備された原稿との比較が基本ですので、どう修正すべきかを指示(ティーチング)するより、修正箇所を客観的に指摘して改善策を見つけてもらう(コーチング)、というアプローチの方が馴染むと考えました。案件固有の事情などが背景にある場合、必ずしもベストな対策が第三者から提示できるとは限らない、という場面も多々あるためです。
- 実装者の話を最後まで聞く
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日産自動車では設計者にあたりますが、実作業を行ったスタッフの話(案件の要件、作業手順、明文化されていない前提や背景など)を聞き届けることは、見当違いな検品を行わないために必要な姿勢であると考えています。限りある時間で必要な情報を引き出すことの難しさがある一方、検品担当者へのインプット漏れに気づく機会にもなり得ます。
なお当社では制作工程からのインプットを「検品受付」と称して、口頭での確認を原則としています。書籍を読む以前からの取り組みですが、このルールを維持していくかの判断の参考にもなりました。
- 謙虚であれ(反り返るな、怒鳴るな、意地を通すな)
- 誤りに気づいてもらうことが肝心ですので、パワーを伴うフィードバックは不要と理解しました。長く検品の経験を積んだが故にいら立ちが生じることもありますが、実装者がコントロールできるようサポートするには、こうした態度が賢明であると受け取っています。
- お客さまの信頼を得ることを最後まであきらめない
- こちらはそのまま、仰る通り。
フィードバック工程ではスタッフと円滑にコミュニケーションをとり続ける必要があります。「心得」と題しましたが、具体的な(技術的な)注意点として参考にした次第です。