検品工程へのインプットの改善施策
品質管理スタッフ 小稗品質管理部の検品は、ページ制作を担当したUI開発者から社内システムを通じて必要なインプットを受けることでスタートします。社内ではこれを「検品依頼」と呼んでいます。
検品依頼でインプットすべき内容は多岐にわたり、UI開発者が専用のフォームへ入力していきます。案件の基本情報(社内処理上のIDなど)、要件定義、スケジュール(いつまでに検品を終える必要があるか)、検品対象となるURL、検品に必要な原稿、検品が不要な箇所、などなど。社内システムに記録として保管することもあり 、時間を要することは理解しつつ毎回の記載を求めています。
定性、定量の両面で不備の実態を把握
しかし、内容が多岐にわたるほど、記載ミスの増加傾向がみられるようになります。時折ケアレスミスが見つかる、という程度であれば個別に対応していくのですが、スタッフの増加の影響からか、最近、検品部門のスタッフから検品依頼の不備が多いという声があがるようになってきました。そこで、スタッフの体感値と並行して、社内システムの記録から直近2カ月分を集計し、問題の具体化を図りました。依頼不備については集計可能な項目を予め用意していましたので、そちらを利用しています。
集計の結果、検品依頼全体の約15%、6件に1件は何らかの記載ミスがあり、1日平均で4件程度、品質管理部が記載内容の確認に時間を割いていることがわかりました。
さらにパレート図を作成したところ、「説明不足」「原稿の特定」とラベリングした内容が最も高い件数となりました。「説明不足」には、ページのどこを検品するのか具体的に記載が足りていない、「原稿の特定」は原稿ファイルの指示はあるもののExcelのシート名やPowePointのスライド数の記載がないため参照すべき情報が特定できない、といった内容が含まれます。
上記のような情報が不足したり誤って記載されると、後工程である検品スタッフには正しい情報を探す手間が生じます。また、誤った情報を正として取り違えたまま検品が進んでしまうリスクも増加します。ヒューマンエラーを含んだ内容ですので0件にはできないという前提はありつつも、業務の正確性と不要な稼働削減の観点から、記載ミスの逓減に取り組むことにしました。
依頼不備の逓減に向けた取り組みを開始
取り急ぎ、具体例をいくつか示しながら、注意喚起を促す社内周知を行い、後工程からのフィードバックで実態を知ってもらう機会を設けました。
今後はより個別のケースに踏み込んで対策を進める予定です。繰り返し記載不備が発生している場合、検品依頼を書く際のヒューマンエラーだけでなく、制作プロセス上の不具合、また何らかの案件特性に由来してミスしやすい状況が発生していることなどが原因として想定されます。個別のケースをあたることで、集計では捉えきれない問題点を把握し対策につなげる考えです。
また、インプット内容が定型化できるようなら、RPAで都度のヒューマンエラーを減らすアプローチもあり得るでしょう。できるだけコンパクトかつ正確な「検品依頼」にブラッシュアップしていきたいと考えています。