OJTの取り組みとリモート環境でのコミュニケーション
品質管理スタッフ 小稗今回は、品質管理部に新しく配属されたスタッフに実施している、検品業務に関するOJT研修についてご紹介します。
検品業務のOJT
当社の検品業務は、原稿や指示書と作業が終わりテストアップされたHTMLファイルを見比べ、実装作業上のミスがないか(ご要望通り出来上がっているか)を確認していくことが基本となります。社内では複数の部門で様々なプロジェクトが進行していますが、出来上がったWebコンテンツの検品については原則品質管理部に集約して行っています。
プロジェクトごとにユニークな検品対応を行うと、大きなコストを要してしまうことから、検品工程については一定のルールやプロセスを設けて標準化、効率化を図っており、新人スタッフにはそのルールやプロセスを理解していただく必要があります。
そこで、まずは先輩スタッフ1名をOJT担当としてアサインし、検品手順や使用するツールについてひと通り説明していきます。手順をとりまとめているドキュメントはそれなりのボリュームがありますが、これまで積み上げてきたノウハウの塊であり、理解が不十分なまま検品を行ってしまうとミスが残ったままのコンテンツが納品されてしまいますので、慌てずに1つ1つ理解してもらっています。
その後はOJT担当といっしょに実際の検品作業を実施。新人スタッフとOJT担当が同じファイルの検品を進めて、終わった後で内容を示し合わせます。「ダブルチェック」と呼んでいるこの方法で問題となる箇所を抜け漏れなくピックアップできているか確認を行うことができます。これを繰り返すことで、手順への慣れや、ツールの使用方法、また実装作業をおこなったスタッフへミスを伝える際のポイントなどを学んでいくことになります。
リモート環境でのOJTで気を付けたポイント
昨年の春より当社でもリモートでの業務対応が進み、OJTもリモート環境で行うことが増えました。やはり対面で行うOJTとは一定のギャップが生じやすいと感じ、気をつけたポイントを紹介します。
これは検品業務に限らないことですが、新しい業務に取り掛かる時は業務上の判断に迷う場面に多く遭遇しますので、これを素早く捉えて解消することが習熟への近道になります。オフィスに出勤している際には新人の方とOJT担当を隣同士の座席順にしていますので、どちらも出社していると、困っている表情や手が止まっている様子が見えやすく、お互い声がかけやすい環境にあります。
しかし、リモート環境ですと、仕草や表情を確認するためにはカメラをONにするというひと手間が必要になりますし、話しかける際にも音声接続というひと手間が生じます。チャットの方が話しかけるハードルは低いかもしれませんが、困っている場面を言葉にまとめるのは難しさを伴います。新人スタッフからすれば何度も同じことを聞いてしまってもよいのかなど、戸惑っていることを知らせること自体に心理的なハードルを感じるかもしれません。
そこで、抜本的な解決策ではないかもしれませんが、こうしたリモートと対面の違い、リモート環境でのメッセージの伝わりにくさについてあらかじめスタッフに共有することにしました。対面より即時性が落ちるかもしれないという事前の共有は、コミュニケーションへのマイナスの影響を多少緩和できたと感じます。
ツールの利用という点では、迷う場面になった際はWeb会議形式で接続し、画面共有をして、具体的にどこでつまずいたのか説明する方法を実施しました。チャットより画面共有を優先することで情報共有の即時性をできるだけ担保することを意識しました。
また、ルールやプロセスに対するあいまいな理解が業務のクオリティを下げることもあらかじめ伝え、迷った際には抱え込まないというメッセージを明示的に伝えることで積極的にコミュニケーションを取る動機づけを行いました。
結果として、新人スタッフが単独で検品業務に取り掛かれるまでのOJT期間はコロナ前後で差が見られない運用になっています。
リモート導入は手順やコミュニケーションを見直す機会に
リモート下でOJTを行う経験は、手順やコミュニケーションなどを見直すいい機会になりました。明示的に言葉にして業務を進めることはリモート環境の有無に依らない要点ではありますが、対面とリモート環境という比較を必要とする状況がコミュニケーションの見直しを促すことになったと言えそうです。